思いと歌と浮遊城

□歌い手のボス攻略
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戦いは予定通りに進んでいった。

鉄壁を誇るボスの甲羅も、クリティカル技が決まればきっちりダメージが入った。

だがしかし、人々は攻略後、俺たちコンビの動きが一番鼓舞してくれたと言ってくれた。

俺はカウンターを1回も外すことなく攻撃し続けた。歌を歌いながらである。
自分のクリティカル率を0にする事で、他全員のクリティカル率をあげる歌を歌い続けながら戦っていた。
しかし一番目立ったのはユラである。俺の真後ろにいる上、俺は自由に動き回っている。その条件下を物ともせず、的確なパリィ(相手の攻撃を自分の武器で強打する事で打ち消す技術)で俺をサポートし、なおかつ隙を見つけてはスキルでクリティカルを狙っていた。

終わってみれば、ボスへの総ダメージは俺が一番だっただろうが、一番の功労者は間違いなくユラだっただろう。

目立った被害もなく、ボスを倒し、第27層に到着し、ゲートをアクティベートした。
この作業は俺とユラがやらせてもらった。勝利を喜ぶ皆の顔と、それを笑顔で見つめるユラの顔。
自然と俺も笑顔がこぼれた。

ゲート開放を喜ぶ攻略組に、中層からきた祭り好きや商人が合流。

お祭りと言うよりは混沌の方がいい気がする状態になっていった。
俺とユラはちょっと離れた場所から観ていたのだが、なにが起きたのか急にプレイヤーたち50人位が俺を追い回すという事態が発生。

彼らは俺にライブをさせたかっただけらしかったが、酒に酔ったように真っ赤な顔で迫ってこられては、逃げるなという方がおかしい。
あえなく捕まりライブをして、皆から熱い祝福を受け、疲れ切った状態でユラの方に戻ったら、ユラは爆笑していた。


涙目になって笑い転げているユラをみていると、とても怒る気にはならなかった。
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