思いと歌と浮遊城

□黒衣の狂人
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第26層でのボス攻略から早くもひと月が経過。

俺たちコンビは最前線の第32層で、マッピング&レベル上げをしていた。
ここ最近の俺たちの行動は、最前線で戦う攻略組だけでなく、攻略済のエリアで、攻略組を助けてくれている職人クラスのプレイヤーたちにも高い評価を得ていた。

「時々ライブを開いてる人がトッププレイヤーとして、戦ってる?おいおい副業がありながら最前線にいるのかよ。俺たちも負けてらんねーな!」
と言ったぐあいらしい…副業じゃなくて趣味なんだがとは思ったが、皆を勘違いででも鼓舞できるならいいと思った。

お金もかなり貯まってきたし、そろそろ2人で1つ家でも…とか思っていたある日、俺たちはある男と出会った。

最前線で血走った目でモンスターと戦っているその姿は、鬼気迫るなにかを感じさせた。

HPは満タンだが、疲れ切った様子で、かなり危うい状態だった。
ちょっとした事で命を落としかねない。ユラも同じように感じたのか、緊張した面持ちで彼をみていた。

俺は彼に見覚えがあった。確か攻略組のソロプレイヤーだったはずだ。最近前線に顔を出していなかったが、何かあったのだろうか?と思っていると、彼の目の前に身長3mほどの獣人<タイガートロル>が現れていた。
その数3体。

しかし5mほど後ろからは3体見えていたが、彼には2体しか見えておらず、猛然と2体に斬りかかった彼は進行方向斜め後ろからきたもう1体に吹き飛ばされた。

俺とユラは自然と同時に走り出していた。さっき彼に攻撃した敵に、後ろから一発。振り返りざまの攻撃をカウンターで返して一匹を倒した。ユラも槍を巧みに操り、俺が2体倒す頃には、ラストの1体を倒していた。
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