Dream
□ただひたすら君を想う
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窓から眩しい日差しが射し込んでいる。
その光に照らされて少女は目を覚ました。
「・・・う〜ん・・ もう朝か。」
まだ覚醒していない頭でぼぉーっと窓辺を見つめる。
寝癖のついた髪をかけあげて背伸びをした。
ふと、今日が何の日だったか思い出し慌ててベッドから飛び起きる。
「やばい!!今日は入学式だ!!!」
色素の薄い髪を適当にさっとくくって1階に降りる。
彼女の名前は二宮陽菜希。
今日からピカピカの高校1年生だ。
期待と不安が押し寄せて案の定あまり眠れなかった。
重たい瞼をぎゅっと持ち上げて鏡を見る。
「・・・あたしも高校生なんだ。もう大人だよね!」
ゆるくウェーブがかった髪をセットして軽くメイクした。
まだ慣れていないのもあってメイクと言ってもごく簡単なものだった。
リビングに行くと母が忙しそうに朝食を用意している。
「あら、陽菜希!制服ばっちり似合うわね。可愛いわ!」
そう言って陽菜希の襟元を直してくれる。
真新しい制服に身を包まれていると、自分が高校生になったという実感がひしひしと湧いてくる。
なんだかくすぐったくて照れてしまう。
母に促され朝食を食べて歯磨きを済ますと玄関を出た。
「行ってきます!」
見事な晴天で雲ひとつないとはまさにこの事だろう。
昨日までは大雨だったのに。
新しい靴が濡れちゃうなぁなんて心配は必要なかったみたいだ。
陽菜希はいつも見る近所のおばさんに挨拶を済ますと、乾いたアスファルトを歩きだした。
爽やかな風に髪をなびかせて期待と不安に満ちた高校生活へと踏み出す。