Dream
□ただひたすら君を想う 2
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夢を見ていた。
横には想いを寄せるあの人がいて、2人で微笑みあっている。
誰も邪魔する人はいなくて、あの人の優しい瞳はあたしだけを見つめている
。
これは夢...?夢...。夢じゃない...!!
「ふ‥じまさ‥!!」
ハッとして目が覚めた。
ここは‥‥。
ぼやけた視界で辺りを見回す。
やけに静かな空間。
誰もいない‥‥。
いや、横に凛那がいた。
いつの間にか居眠りしていたようだ。
幸いな事にヨダレは垂れていない。
横からクスクス笑う声がする。
「ひなちゃん、寝言大きいよ」
自分の寝言で目が覚めて、恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべる。
そうだ、放課後に凛那が調べものがあるからと一緒に図書館に付いて来たのだった。
確か何かの本を読んでいたのだが、退屈で眠ってしまったらしい。
いい夢だったな〜。‥‥でも夢じゃないんだよね!
この前藤真さんと、一緒に帰った時の事を思い出してにやけていた。
呼び出された意味は告白とかじゃなかったし、結局よく分からなかったが、そんな事はどうでもよかった。
あの人と同じ空間で会話して、笑い合って、ただ一緒に過ごせたというだけで満足だった。
「良かったねひなちゃん!この前から顔緩みっぱなしだよ?」
「えへへ。無意識にこうなっちゃうの」
幸せそうな陽菜希を見て
凛那も嬉しかった。
なんたって花形と凛那の作戦が大成功してここに至った訳だから。
「調べもの終わったよ!そろそろ出よっか」
「今日は花形さんと帰るんだよね?」
本を棚に直しカバンに荷物を詰め込む。
「うん!たまにはひなちゃんも一緒に帰ろう?」
1人で帰るつもりでいたので慌てて首を振った。
「え!いいよ。あたしの事は気にしないで!」
凛那は手を取って言った。
「いいから!行こっ!」
強引に手を引かれ、ためらいながらも付いて行った。
今日は明らかに出遅れた事もあり、入り口から部活を覗くのは不可能に思われた。
藤真さんに見に来いって言われてるんだけどな‥‥。
2人は大人しく体育館裏の少し離れた所で花形を待つ事にした。