Dream
□ただひたすら君を想う
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高校に着くと自分と同じ入学生がたくさんいた。
みんな緊張した面持ちで佇んでいる。
新しい制服やカバンの独特の匂いが風に乗って校庭を包んでいた。
陽菜希も例外ではなく、緊張で体がこわばる感じがした。
「・・・どうしよう・・。ドキドキする。」
小さく体が震えてしまう。
もう春だが朝はまだ肌寒い。
陽菜希は親友の凛那と待ち合わせをしていたので校門のそばのベンチに向かう。
ここ翔陽高校に入学したのは同級生の中では陽菜希と凛那の2人だけだった。
カバンから携帯を取り出してメールを打つ。
「もう着いたよ・・・っと。」
凛那を待っている間、ぼぉー
っと校庭を通る生徒達を見ていた。
2、3年生だろうか。
歳はそんなに変わらないはずなのにひどく大人びて見える。
メイクをしているのもあるだろうが、なんというか色っぽさが滲み出ている気がする。
子供っぽい自分とは全く別の次元に思えた。
「いいなぁ・・・。」
淡い憧れを抱きながら見つめる。
するとその視線に気付いたのか女生徒2人が陽菜希を見て微笑んだ。
「見てあの子!かわいいっ!1年生は初々しいねぇ〜。」
陽菜希は顔を赤くして俯いた。
くすくす笑いながら女生徒達は行ってしまった。
何を言われたのかは分からなかったが、からかわれたみたいで恥ずかしかった。
「早く来ないかな凛那・・・
・・。」
1人呟いてまだ火照った頬を冷えた両手で包み込んだ。