Dream

□ただひたすら君を想う 2
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藤真side

藤真と花形は部室で着替えていた。

後輩たちは先にアップしていて、ここには2人しかいない。

部室にしてはやけに綺麗でちゃんと整理整頓されている。

部室特有の男臭さはほとんど感じられない。

ちょっと潔癖な所がある藤真の影響が大きい。



「ありがとな」



ぼそっと藤真がつぶやいた。

花形はそれが自分に向けられた物だと
理解していた。



「うまくいったか?」



スポーツウェアに手を通しながら、ちらっと視線を向けると少し照れた様子で藤真が頷いた。



「そりゃ良かったな!王子さま」



花形は堪えきれず忍び笑いを漏らした。

藤真はかあっと顔が赤くなって花形を睨んだ。



「花形!!余計な事書きやがって‥!
それさえなけりゃあんな恥かくこともなかったんだぞ!!」



今にも飛び掛かりそうな勢いの藤真を、花形は暴れ馬でも調教するかのように優しくなだめる。



「まぁまぁ。落ち着け藤真!ドードー
!!ちょっとしたジョークだよ、ジョ
ーク!結果的にうまくいったんだから
いいじゃないか」



あっけらかんと言い放つ。

反省の色が全く見えない。



‥‥ダメだ、こいつ。



何とも納得いかなかったが、こいつに何を言ってもムダだと悟った藤真は体の力が抜けた。

はっはっはと笑う花形を見て溜め息をつくと、脱いだ制服をロッカーに直しながら聞いた。



「お前1人でやったのか?」



「いや?凛那ちゃんとの連携プレーだよ!」



ニコニコしながら視線を向けてくる。



なんかやだこいつ‥‥。




「凛那ちゃんて‥あの鼻血の?」



「いい加減鼻血の事は忘れてやってくれ‥‥。女の子なんだから可哀想だろ!」



藤真は呆れたように頷く。



「はいはいわかりました。‥‥会ったらお礼言わないとな」



ふーん。案外律儀なやつだな。

花形は小声で呟く。



「‥‥今日一緒に帰るけど。‥ちなみに
ひなちゃんとは親友」



‥‥‥ん?



藤真の耳がピクピク動いた。



「‥‥今何て言ったっ!!!」
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