Dream

□ただひたすら君を想う 3
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藤真は一人、余韻に浸りながら歩いていた。

さっきまで自分の背中にあった重みがなくなり、少し淋しく感じる。

と同時にさっきまで一緒にいたのにまた会いたくなった。



…浴衣似合ってるって言うの忘れてたな。


家に着くと、近所の幼なじみ柊が来ていた。


「ただいまー。おっ、柊来てたのか」


「あっ、健司おかえり!…甚平着てるってことは花火大会行ってたの?」


「おう。すげー人だった!」


柊は藤真のそばに来ると首をかしげた。


「健司、香水変えた?…なんか甘い香りのやつだね」


いつもと違う香りがした。


「いや?変えてないけど…。あー、今日は二宮をおんぶしてたからそれかもな」


「え…?」


藤真は陽菜希の事を話した。

嬉しそうに話す姿を柊はにこやかに見ていた。


「そうなんだぁ!健司が本気で彼女作るの珍しいね。どんな子か紹介してよね!」


「言っとくけどかなりかわいいぞ!」


「楽しみだなぁー!」



一ノ瀬 柊。

高校2年生。

藤真とは幼稚園からの幼なじみ。

セミロングで色白の美人だ。

二人でソファに座ると、柊の出してくれたお茶を飲み干した。

近所だけあって時々遊びにやってくる。


「柊は今付き合ってるやついないのか?」


「…うん。いないね」


もちろんアプローチしてくる男はたくさんいるのだけれど。

綺麗な顔の幼なじみを毎日見ていたら、自ずと理想が高くなるのも仕方ない。


「彼女は年下の子?」


「1年だ」



…どんな子なんだろう。


健司が気に入るなんて滅多にないから興味あるなぁ…。





月曜の昼休み。



陽菜希は藤真に呼ばれていた。

前におにぎりを作って来たときより料理の腕も上がり、普通にお弁当も作れるようになった。

今日は早速二人分作って持参した。


「…失礼します!」


まだ緊張はするが、二人きりになれるのは嬉しい。

部室のドアを開けると、藤真が待っていた。


「二宮!こっち来いよ」


手招きされて藤真の隣のイスに座る。

ドキドキしながら横を見ると、少し照れたように笑う藤真がいて思わずはにかんでしまう。

持ってきたお弁当の包みを開こうと、手を伸ばした。

だが、その手を藤真が握ってきた。


…藤真さん?


ぽかんと見つめていたら、藤真が真剣な眼差しで見つめてきた。
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