開かずの間
□ヒトツノ部屋
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階段をしばらく上ると、そこにはまた扉があった。
今度はなんの紋章もなく、ただの扉だ。
振り返ってみれば、ひたすら階段の光景が広がり、
あの金のカギであけた扉ははるか下のほうになって見えなくなっていた。
どう考えても、これだけの高さの階段があり、ここが五階だったとしたら、長年屋敷の外から見ているうちに発見できるはずだ。
しかし今まで、建物は外から見て四階だったし、
飛び抜けた五階の存在など、認知したことはなかった。
ジーナはここはいったいどこなんだろう、行ってはいけない場所なのではないかと考えたが、
なんとなく呼ばれている感じが、ずっとつきまとっていた。
好奇心とその不思議な「感じ」だけでここに来たジーナに
いまさら引き返すという選択肢はなかった。
「よし!!ここはいったいどこなのか調べよう!!…………さっきの人影もこっちに向かったんだし!」
きっとさっきの人がこの先にいるに違いなかった。
そしてジーナには、さっきの人物に聞けばなにかこの屋敷についてわかるのではないかという妙な予感がした。
先ほどから、自分の考えに自信があるのも不思議だった。
未知ほどの恐怖はないはずなのに……………
なんのためらいもなく、ジーナは扉を開いた。
「ここは………………」
そこにはジーナの私室ほどの広さの部屋が広がっていた。
それなりに広く、部屋として使えそうだが、そこには驚くほどなにもなかった。
たった1つ、殺風景な部屋のど真ん中に
白く美しい石で作られた石碑のようなものがたたずんでいた。
「だれか…………いますか??」
声に出して尋ねてはみたものの、ジーナの声は誰に届くこともなく、ほこりっぽい部屋の中に消えていった。
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