開かずの間
□退路
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「記憶が・・ないって・・・・」
突然のルイの告白にジーナはとまどいを隠せない。
「どういう・・・・ことなの??」
ルイは少し迷ったが、やがて言葉を発した。
「話せるだけのことがない。・・・・記憶がないってのはそういうこと。ただ・・・こんな場所にずっといるつもりはない。
それはお前も同じだろ。」
お前・・と呼ばれたことにジーナは少しむっとしたが、言いたいことはわかった。
「協力して、こっから出る!!そういうことだよね!!・・・うん、大賛成!!」
「そ。じゃあ状況整理。」
ジーナの表情に笑顔が戻った。
一人でないことがこんなに心強いとは思ってもみなかった。
ルイはどうやらジーナが来る前からこの屋敷にいたらしい。
黒の部屋は、ルイも探索済みだった。
ルイも鏡の前を通って玄関の方面に向かおうとしたが、パネルの文を読んで断念した。
「でも、まって。なんであの文を読んで、あの鏡が危ないものだってわかったの?」
ジーナの言葉を聞いてルイは驚いた顔をした。
「あれ・・??わたし、なんか変なこと言った??」
「まさかお前・・・ほんとにわかんなかったの??」
もはや「お前」に対してつっこむつもりはない。
「うん・・・。あれ・・そういう意味なの?」
ルイは少しの間目を丸くしてジーナを見つめていたが、やがて溜息をつき説明を始めた。
……*……*……*……*……*
真偽
真の姿をうつしだすもの
自ら傷つけようとす
偽の姿をうつしだすもの
その身を焦がすことはない
意味を難する者世にとどまることなし
……*……*……*……*……*
「って・・・書いてあっただろ??これは真の姿を映す鏡は自ら、つまり自分を傷つけるって意味。」
「うん。それはわかる。」
「そしたら、もうわかるだろ??『真の姿』っていうのは合わせ鏡の中にできるもうひとつの鏡に映った自分のこと。・・・・・それは黒の部屋で読んだ本に書かれてた。」
「あ、そっか。・・・廊下にあった鏡は、合わせ鏡だった。だから・・・」
「そ。・・・あの鏡の前に立ったら、自分が襲われるぞってことを、暗に示してたわけ。」
「なるほど〜!!!ルイ、すごい!!よくわかったね??」
(こんくらいわかるだろ。)
「ま、それはいいとして・・・」
と、ルイは話を元に戻した。
「ほかの場所も調べたけど、窓らしいものもないし、黒の部屋の向かいの部屋は開かない。・・・・二階に行くこともできない。」
つまり・・・・
「玄関に行くしか、ない!!ってことだよね?」
「そう。でも、どうしてもあの鏡が邪魔なんだ。」
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