開かずの間
□貴公子
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階段を上りきると、あの影が部屋に入るのが見えた。
「なんで、なんでにげるの??待って!」
ジーナは影を追って部屋のドアを開いた。
カギはかかっておらず、扉はがちゃりという音を立て開いた。
部屋の中にあの影はいなかった。
ルイに腕を捕まれ、ジーナは我に帰った。
「お前………危機感なさすぎ。勝手に進むな。」
「…………ごめんね。つい……」
部屋の中はえらくシンプルだった。
…………カタカタカタカタ
部屋に入ってから気づいていたが、なにかの音が聞こえてくる。
小さな音だが、それは部屋の中心にある丸いテーブルの上に置いてある箱から聞こえてきた。
「………なんだろう?」
「だから…」
「……大丈夫!!……危機感…だよね。」
ジーナはルイの顔を見て少し笑った。
ルイもその顔を見て喉まで出かかっていた言葉を押し止めた。
カタカタカタカタ
何かが走るような音。
それは静寂な部屋の中で小さく響き渡る。
ジーナもルイも少し考えたが、やはりテーブルの上の箱が気になった。
「近づいても………大丈夫かな??」
「……なんか…罠な気もするけど……」
「触らぬ神にたたりなし!!」
「………??なにそれ」
「ことわざだよ!!神に触れなければ祟りは降りかかることもないって意味合い!ここは無視っていう手も……」
「まぁ、確かに。」
「でしょ!!」
ジーナは得意気になってはしゃぎ、一歩前にピョンと跳ねた。
カチッ
次の瞬間なにかが外れるような音がし、ジーナはハッとなった。
どーーん
なにが起きたのかはわからないが、冷静になると自分がルイに突き飛ばされたのがわかった。
「危機感………。どうしたんだよ。」
ルイは柵の向こうで倒れた体を起こしていた。
どうやら、天井から柵が落ちてきたらしい。
ルイは柵の中にあの箱と共に閉じ込められた。
「おやおや、ずいぶん大きなネズミがかかったものですね。」
聞き慣れない声に、ジーナは振り返った。
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