開かずの間

□長老
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ジーナは中央の黄色で塗られた部屋に向かった。
黄色の部屋は3つあったが、真ん中の部屋には廊下からは行けなくなっている。






最初は階段のほうから反時計回りに向かおうと思ったのだが、
階段前は猫たちが見張っていて通れない。






なのでジーナは時計まわりに黄色の部屋を目指すことにした。





途中にあった黄緑の部屋の戸には、小さな手のひら程の穴が開いていたが、扉のカギはしまっていた。





中からは、ぐおおおおといういびきのような音が聞こえた。





「これ……なんの音かしら……。……次の部屋に行こう」





ジーナは廊下を歩いた。
相も変わらず薄暗い廊下。
地図が見えるくらいな明るさなのが唯一の救いだったが、一人で歩いてみるとその不安は倍増した。




…………そのとき
後ろから誰かに見られているような強い視線を感じた。





ジーナはゆっくりと振り向いた。




ヒタ…………ヒタ………





「…………あ………。」





無表情…
しかし明らかな殺気に満ちている。





出刃包丁をまるで刀のようににぎりしめ、ゆっくりと歩いてくる。




一階から追ってきたのだろうか。あのクマが暗闇から姿を現した。




ジーナは恐怖で身が凍っていたが、とっさに逃げなければならないと思った。





動かぬ足を無理矢理動かして、廊下を走った。





ヒタヒタヒタ





クマの足音も早くなる。
追ってきているのだ。





一階で会ったときにはそれほど本気で追ってこなかったふうに感じたが、今は追いかけてきている。




「なんなの………?!」





ジーナは走って走って、廊下の突き当たりを曲がった。





「……あった!!扉!!」





息も絶え絶えに、ジーナはようやく黄色の部屋の扉を見つけた。





鍵がかかっているなどとは考えなかった。





とりあえず、この恐怖から逃れたいと思った。





ジーナは思いきってドアノブを回した。





ガチャガチャ…





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