「しし、お前を王子のコイビトにしてやるよ」




どうしよう、





なんて上から目線なんでしょう。

これは告白と受け取っていいんでしょうか。

そもそも、




なんで私?











「…おい、聞いてんのかよ」

「一応…」

「あん?不満なわけ?」

「いえ、そういうわけではなくて」





別にベル様のことは嫌いではない。

自信家なところも、わがままなところもベル様だから許せるし。

顔も見た目も文句の付けようがない。


だけど



「私は今までベル様を隊長として見てきました。
なのでいきなり恋人と言われましても困ると言いますか…」

「王子の姫になりたくねーの?」

「そ、その前になんで私なんでしょう…
私は一介の部下ですし、特に目立つ存在ではないと自負してますし、」


そうだ。
思えばこんなに話すのも初めてだし、
二人きりになるのだって、

任務以外で顔も突き合わしたことないし


なんで、なんで?



「私じゃベル様の恋人に相応しくないと思いますが…」




ヴァリアーでの身分でさえ、違いすぎる。

見た目だって良く言って平凡。
西洋美人ではない。


私がベル様の隣を占領するなんてこと

していいの?




「…お前よくそこまで自分を卑下できんな」

「本当のことですから…」

「…なあ、俺がお前をコイビトにしたいって思った理由、聞きたい?」

「え、」

「お前って普段からそうやって誰に対しても謙虚っつーか、かしこまってること多いけどさ、
よく笑うじゃん」


…は?

なんですか、それ。

私ベル様に笑顔なんて見せたことありましたっけ?


「ヴァリアー全体でパーティする時とか、他の奴らがバカやってんのとか見て笑ってるし、笑顔で他の隊員としゃべってんじゃん」

「…はぁ」

「いつもオレの前でそんな顔しねーくせに」

「それはベル様が隊長で幹部で…」

「だからコイビトにして身分とか気にしない立場にさせたらオレの前でも笑ってくれんじゃねって、思ったんだよね」



なんですか、それは、つまり…


「ベル様は、私の笑顔が好きってことですか?」

「…、…」

「…あの…」



え、うそ、なんで黙るんですか


「ベル様?」

「ししっ、うん」



「オレ、お前のこと好き」



お前は王子のこと好き?



なんて問いかけと同時に唇に熱いものを感じました。





「…な、なにするんですか!?」

「何ってキス?ししっ」

「な、な!…ん、あの…」



きっと私の顔は真っ赤なんでしょうね。
お願いですからニヤついた顔で見ないでください。



「ベル様のことは好き、だと思いますが…その、さっきも申し上げた通り、私は一介の部下で」

「だからさ、好きになんのに身分なんて関係あんのかよ。
王子がお前を好きで、お前が王子を好きなら何の問題もねえだろ」

「…そう、ですね」


なんでこんな照れることはっきり言えるんでしょうか。

尊敬します…。


「お前は色々考えすぎ」

「…それでは、ベル様は後悔しませんか?」



私を恋人にしていいのですか?
責任は取れませんよ。



「ししし、後悔するなんてバカなことオレがすると思うわけ?
お前が好きだからコイビトにしたいんだし」











…ああ、降参です。




どうしましょう。



どうしよう、好きみたい




です…。


*END*


オレがお前を守るから、何も心配なんていらねーよ。

だからもっと、王子の隣で笑って。


お題は「確かに恋だった」様よりいただきました。
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