るろうに剣心

□第肆
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「……もえ…巴!巴!」




誰かの声が聞こえ目が覚める。

ありゃ……此処何処…?
確か私は道に迷って木に凭れかかったまま穴に落ちた………。

「おい起きろ。此処で何をしているんだ?」



聞いた事のある声と言葉に驚き目をゆっくり開き辺りを見渡す。


『んっ………』


「俺は緋村剣心。お前は?」


なんだよ。どっかで聞いた事あるじゃねーかこのセリフ。


『あー、桜乎。藤桜乎。』

「桜乎………!!桜乎!」

『え?剣心?』


目を開けるとそこには一度見たことのある光景が目に広がった。

あ、ここ私が初めて剣心に会った場所だ。


一度フラッシュバックしてまた現実に戻る。

『久しぶり、剣心。』


少し大人びた剣心を見て口角が上がる。

「こんなところで何をしている」


『んー、剣心を追って出てきたら道に迷った』

「師匠は?」


『普通に許してくれた』

「ったく……あの人は。」


ポリポリと少し頭を掻き近くの木陰に座る。

「兎に角、そんな薄着では風邪を引く。これでも着てろ」

『おぉ、サンキュー』


「……?お前西洋人か?」

『え?あ、いや、なんかそこら辺の人たちが言っていたような……ハハハ……』


やってしまった…。
英語ってまだあんまり知られていないんだっけ……?


二人の間にとてつもない異様な空気が流れ込む。
冬の冷たい空気が頬を掠め少し身震いすると剣心は少し微笑んだ。

『え?』


「いや、妹みたいで可愛いなと思ってな」

そう言い澄麗の頭を撫でる。

よかった……流してくれた…。


安堵の息を付ながらその温かい手を堪能する。

何処か安心出来るその温かい手から温もりが伝わり心の中から温まる。

『剣心の手っておっきいねー。』


「一応剣を使うからな」

『私の方が身長大きいのに。』


「そうだなー。」

そういいつつも澄麗の頭を鷲掴みにして指先に力を入れる。


『い"っ……い"だい"い"だい"い"だい"!!!』

「え?」


『まっ参りましたぁぁぁああああ!!!』

「フフッ、よしよし。」


私が素直に謝ると剣心の大きい手は力が弱まり再び私の頭を撫でる。

『なんか……ムカつく。』


少し呟きされるがままにしているとそんな苛つきさえも忘れて心地よくなる。

そして気が付くと深い眠りについていた。

*
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