桜からの手紙

□桜の木になろう
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○碑文ヶ丘高校
 前田親子が和解してから2日後、桜高校では卒業式の準備が開始された
3年C組の面々は、諦めずに校庭にある桜の木の手入れをしていた
そんな中、里英と図書館で資料集めをしていた由紀が……携帯を見ながら首をひねっていた
里「んっ……由紀ちゃんどうかした?」
由「……あのねっ2日前から自由くんにメールしてるんだけど……返ってこないんだよ」
里「嘘!ほぼ毎日メールしてるんでしょ!?」
由「うん……」
里「何かあったのかな?」
由「………………」
里「由紀ちゃん、皆に話してみよう、何か知ってる人がいるかもしれないよ!」
由「………そうだねっそうするよ!」
由紀と里英はクラスメイトに声を掛け、自由の行方を聞いて回る
そのうち、優子・みなみ・友美・陽菜・麻友・佐江も聞いて回るのを手伝ってくれた
だが……誰1人、自由の行方を知っている人はいなかった
最後に面々は、副担任である篠田麻里子に話を聞くことにした
麻「自由くんがいなくなった?」
由「はい……もう2日も連絡が無くて」
優「みんなに聞いて回ったんですけど……誰も知らなくて」
み「篠田先生……何か知りませんか?」
麻「んん〜〜〜………2日前といえば、前田先生の娘さんの敦子さんが病室に来てたときだったかな」
優「敦子さんと会ったんですか?」
麻「うん、前田先生に聞いたら…その日に自由くんがお見舞いに来たんだって」
友「だとすれば……その後に何かあったのかな?」
陽「ゆきりん!最近の自由くんに何か変なところはなかったの?」
由「ええっと………なんか…悲しい顔をする時が増えたってところかな」
佐「悲しい顔?ゆきりんと一緒にいる時も?」
由「私と一緒のときは笑顔だよ、でも……最近よく見るの自由くんが思い詰めた……苦しんでる顔を」
友「そうなんだ………」
里「どうしちゃったんだろ……」
優「篠田先生は何か知らないですか?自由の……過去についてとか」
麻「………実はね、自由くんからこんな話を3日くらい前に聞いたの」

○病院

【3日前】

麻「自由くんには……柏木さんと付き合う前に、好きな人とかいたの?」
『いきなりですね………まぁいましたよ』
麻「へぇぇ〜〜…でもどうして別れちゃったの?」
『別れたっていうか………そうなってしまったというか………』
麻「んっ?」
『高校1年生の時……俺には付き合っている子がいました、その子は…ここ碑文ヶ丘高校の生徒だったんですよ』
麻「そうなの!?」
『はいっ毎日会って…一緒に下校して…休みの日は一緒に出掛けたり……楽しかったな…あの頃は』
麻「自由くん?」
『でも……そんな幸せは長く続かなかった、その子は……雨が降る春に……交通事故で亡くなりました』
麻「えっ!?」
『あっすみません……なんか暗い話になっちゃいましたね』
麻「えっ……うっううん、私は大丈夫だよ」
『………今でも悔やんでます、俺が……俺があの時…会おうなんて約束さえしなければ………』

○碑文ヶ丘高校
麻「……………」
由「そんなことが……」
優「自由に……そんな辛い過去があったなんて」
陽「そういえば……自由くんって両親がいないって私に言っていたよ」
佐「えっそうなの!?」
陽「事故で亡くなったんだって……」
渡「そんな………じゃあ自由さんは…」
優「ずっと1人で……たった1人で生きてきたんだ」
麻「学校の資料を色々調べてみたら、2年前に1人の生徒が事故で亡くなってるって資料があったの」
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