短編
□ 気付けば君に惹かれていた
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「こんにちはー」
ドアを開けると、鍵は開いているものの、誰も居ない
中に入ってみるがやっぱり誰も居ない
「無用心だなぁ」
「ん?あぁ!名前ちゃん!」
ソファからひょこっと顔を出したのはアザゼルさんだった
「アザゼルさん、皆は?」
「芥辺はんは依頼で出掛けとって、さくちゃんとべーやんはまだ大学やでぇ」
「あれ?アザゼルさんは大学ついていかなかったの?」
そう聞くと、アザゼルさんはぶわぁっと泣きそうな顔になって抱きついてきた
「聞いてやぁさくのやつ酷いんやでぇ!アザゼルさんは五月蝿いからお留守番しててください、て置いてかれたんやで?!」
佐隈さんの真似をして
わぁぁあああと泣きついてくる
アザゼルさんに、苦笑しながら頭を撫でる
さりげなく胸を触られているが…まぁスルーしておこう
「あ、アザゼルさんお菓子食べません?」
毎日カレーと豚足じゃ飽きるでしょ?
笑ってそう付け足すと、アザゼルさんは顔を上げてパァアと明るい顔をした
「今流行のマカロン買ってみたんです!佐隈さんには内緒ですよ」残念ながらマカロン…意外と高くて数個しか買えなかったのだ
「もう名前ちゃんだけやわぁ!」
もう大好きなんて言いながらマカロンを食べるアザゼルさん
「名前ちゃん、なんでワシに優しいん?」
「え?なんでって…アザゼルさんドM…」
「ちゃうわ!マンダはんと一緒にせんといて!」
プンプンと怒るアザゼルさんに笑いながら考える
「そうですねぇ…」
そう言えばそうだなぁ
考えてみれば私はアザゼルさんに弱い
なんでだろう…?
「自分で言うのもなんやけどワシ変態やし」
「スカトロとか唾吐くのよりましだよ」
ははっと笑いながら言うと、アザゼルさんが黙った
怒らせてしまったのだろうか…?
でもそう言えばアザゼルさんも私にセクハラとか下品な事とかあんまり言わないよなぁ
「ワシ、名前ちゃんのこと大好きや」
不意にアザゼルさんには珍しい凄く無邪気な笑顔で言われたものだからキュンとした
多分今の私は顔が赤いだろう
気付けば君に惹かれていた
私もアザゼルさんのことが大好きですよ
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