短編

□戯言
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バタンと扉が閉まる音がした
この時間は…あぁ、彼です
私の主人


私は寝床を出て”おかえりなさい”と言って彼に駆け寄ります
もっとも、あなたにはただの鳴き声にしか聞こえないのでしょうが

「ただいま」

それでも分かってくれる君が好きです。

…あれ?でもなんだか元気がありません
どうしたのでしょう…?

”どうしたんですか?大丈夫ですか?”
ベットに座った彼にすり寄ると、彼は私をそっと持ち上げて抱きしめました

「どうしたら…良いんでしょう…」
私の言葉が通じたように呟く彼。

何かあったのでしょう、凄く悩んでいるようです。
もっとも、彼は所謂ネガティブと呼ばれる性格なので、
良くこういった状態になるのですが…

私を抱きしめる手の力を少し緩めて溜息を吐く彼に、
私は頬をすりよせて元気付けます。
「ありがとう」
小さく礼を言う彼に答えて短く鳴くと、彼は私の頭を撫でてくれました。

「お前はいいですよね、悩みが無くて…」



鶴正…
私のことを良くわかってくれているあなたでも、
これだけは分かってもらえないのです

私にも悩みはあるのです。

少々腹が立ったので、私は彼の足に爪を立てました
「いっ!」

衝撃で彼の膝から落ちてしまいました。
ふん、いい気味です!

彼はまだ痛がっています。
…でも少し申し訳なくなってきたので、彼の横に座りました。


しかし今のはあなたが悪いのです
私にだって悩みはあるのです。
望みもあるのです

叶うならあなたと会話をしてみたいのです

こうして落ち込むあなたを抱きしめたいのです

慰めたいのです。







あなたが…好きなのです





猫の戯言



私は何故猫なんぞに生まれてきてしまったのでしょうか

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