□拾われました
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私の瞳は左右の色が生まれつき異なっていた。


それはオッドアイと呼ばれるもの。


周りの人も、家族さえも私を気味悪がり、私を虐げた。

そして15歳の時、私はとある貴族に売られた。


その人は、普通とは異なったモノを収集する趣味があった。


私はその日からただの鑑賞用人形になってしまった。


その人は、同じような趣味を持った貴族達に私を見せては自慢をした。


はっきりと左右の色が違う私の瞳を美しいと皆が口にする。

表情は、身震いする程に歪みきっていた。


怖い。


私の腕を力任せに掴み、目を見開き私の瞳を間近で凝視するその人達が。


恐い!




こんな生活が気がつけば、2年近く続いていた。


そんなある日、その人が隣国で行われるパーティーに参加することになり、私も連れて行かれることになった。



その道中、私は監視の目を盗み逃げ出した。





「はぁ……っはぁ……。」


血の味がする。
心臓がうるさい。

此処が何処で、何処まで走ってきたのか、どのくらいの時間が経っているのか、まるでわからない。

空を見上げると、木と木の隙間から満月が見えた。
でも私には月の位置で時間なんてわからない。


近くの木に手をつき、体を預ける。
息の苦しさはまだ収まってくれない。


「いたぞ!こっちだ!!」

「っ!!」

逃げなきゃ、


一歩でも、少しでも遠くに!



もう、あんな生活には戻りたくない……!!



傷だらけの素足に再び力を入れて走り出す。






この先に待ち受ける自分の運命も知らないで――――





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