□私の主がこんなに人外なわけがない
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皆さん、こんにちは。
拾われ系主人公のエルナです。


突然ですが、聞いてください。

それは昨晩のこと――


「伯爵、二つ聞いてもいいですか?」

「何だ?エルナ。」

「何でこんな時間にあんなところにいたんですか?」

「散歩だ。仕事の息抜きには丁度いいんだ。」


お城から凄く離れてた気がするけど……。
まぁ散歩の距離なんてきっと人それぞれだよね。


「じゃあ、さっき私を抱えて崖とか川とか軽々飛び越えてましたけど、何者何ですか?」

「そんなことか。私は吸血鬼なんだ。」

「あ、きゅうけつきなんですか。」

「あぁ、そうだ。それじゃ、エルナ今日はもう月が高い。お前も休め。」

「はい。ありがとうございます。」



そっか、伯爵きゅうけつきなのかぁ。
だったら、あれくらい余裕だよねぇ。


ん?


きゅうけつきって……



吸血鬼?





……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!


吸血鬼ってあれだよね!?
血吸うあれだよね!?

何であの人、俺そこで野菜売ってるんですよーなテンションでなに言ってんの!?


あれ?

もしかして、私また新たな命の危機に遭遇してる?
助けられたと思ったら更なる試練が待ち受けているって言うあれですか!!?



と、言うことがありまして。


正直ちゃんと寝れていません。



これは、意を決して伯爵を問い詰めるしか……。

確か吸血鬼は十字架とか日光とか銀とかに弱かった筈、あと流れる水と……か。

ちょっとまって。

昨日、川飛び越えてなかった?あの人?
じゃあ、水案は却下で。


今の状況で手に入るものは日光のみ。


つまり、窓があれば私は勝てるっ!!

この城にはいくつもの窓があることはこの部屋まで案内された時に見てるし、それに今日は雲ひとつない快晴。
よし、いける。



私は勝てるぞ!!



と、言う訳で取り敢えず真相を確かめに伯爵に会いに行ってみたいと思います。






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