桜舞う朧月 文

□当主
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藹然とする靄が欠けた月の輪郭を濁す。





花期の終わりを告げようとしている薄紅は、より一層花弁を落とす。





視界を埋めんとするそれは、舞いを踊るように風に攫われていく。





眼前の敵を見据える赤い瞳は、鋭い。





その瞳の奥にあるのは、剥き出しの殺意にも似た意思だけだ。







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