Butterfly Effect
□記憶のカケラ
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…………ド
…………………ウド
誰かに呼ばれている気がして彼はゆっくりと目を開ける
そこには視界一面に広がる翡翠色の海
―あぁ…また何時もの…
最近、同じ夢ばかり見る
いつも同じ所から始まり同じところで終わる
―全く…一体何なんだ?
意味のわからない夢に少し嫌気がさす
海の中にいるような体の浮遊感を感じながらお決まりの展開を見る為、クラウドは視線を一点に集中させた
―来た
翡翠の視界と気泡の奥からゆらりと人影が浮かび上がる
―今日もよく見えないな…
歩いて来た人影は自分の前でチョコチョコ行ったり来たりを繰り返す
―俺…は何かに入れられて…る?
フワフワして自由のきかない自分の体と違って目の前の人影はさっきから忙しなく動いてる
ゆっくりと視線を左に向けると、ガラス張りの試験管の中で自分と同じ様に翡翠の水の中に体を漂わせている者がいる
―誰…だっけ…俺…は…知っ…てる?
思い出そうとするが思い出せない
一体、何時からここにいる?
もう何年もこうしてる気がする
段々と自分の心拍数が上がってゆくのがわかる
―馬鹿馬鹿しい…ただの夢だろ?
落ち着きを取り戻す為、自分に言い聞かせる
すると先程まで動き回っていた人影は、俺の目の前で止まった
ガラス越しにそっと手が映る
―ここで…何時も目が覚めるんだよな…