第三部
□帰還
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ああ、確かにそうだよと、足元に突き刺したクナイを見詰めた。
小さいときからの口癖。
成せばなる。
この続きを思い出す。
「成せば成る。成さねば成らぬ何事も。成さぬは人の、成さぬなりけり……。か。道が長いよ……」
ナルトと別れて、二年経った。
月日は流れるのが早い。
努力して、努力して、努力して。
暗部のシジマへの所属が決まり、駆けずり回った。
得たものもあれば、失うものも数知れず。
結果的にはプラマイゼロの筈だが、明らかに心はマイナスを指していた。
さては技術の対価にしたのか、と思うほどだ。
「なんだっけ。錬成!!パーンッ!ドンッ!!っだったか」
「また班長が壊れてますよー。誰か金平糖持ってきてー」
失礼な。
勢いよく地面に手を着けた弾みで付着した土を叩いて落とした。
そして真面目な部下が本当に持ってきてしまった金平糖を見る。うーむ、これは甘栗甘の並ばないと買えないやつだ。わざわざあらかじめ買ってきていたのなら食べないわけにはいかない。
だが、手袋にはさっきので土が付いてしまっていた。
でも食べたい。
仕方がないので面を少しずらして口を指差す。
「あー (訳/入れて)」
「っ!!!?」
「うがっ!?」
素直に入れてくれるかと思いきや、鷲掴んで押し込んできやがった。
全く、暗部にはドエスしかしないのか。
このままじゃ口の中が痛いのでボリボリ噛みながら改めて辺りを見回す。
地面を濡らしているのは赤い液体で、あちらこちらに人だったものがころがってる。
全く、何処の里の者だ。
調べ尽くしてくれるわ。
まぁ、だいたい見当がつくけど。
面(めん)を剥がして面(つら)を見る。
まだ若い。使い捨てだったのか。
額に彫られた呪印が解けて、皮膚に染み込んでいた。
鼻をつく臭いに『あちゃー』と心のなかで額を押さえる。
「持ち帰りはできない。ここで処分する」
「しかし」
「毒を仕込まれてるし、空気中にも漏れ出してる。吸ったら頭やられるぞ」
それを聞いて、部下が死体を投げ棄てた。
もっと丁寧に扱いなさい。
すぐさま火を放ち処分する。
持ち帰ることができるのは血液だけか。まぁ、仕方がない。
荷物は回収できたし。
「撤収するぞ」