第三部
□帰還
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帰還途中、空から鳥が飛んできた。
イヌワシだ。
修行する場所でよく見かけるイヌワシを手懐け、躾をしたので良い忍鳥として働いてもらってる。
カンちゃんや狼コンビの様に戦闘能力は無いが、偵察とかの雑用としてだけど。
腕に留まらせ、記憶をみる。
周辺に人影はなし。
チャクラを探っても滓も無い。
完璧だ。
「今日はパフェ♪今日はパフェ♪チョコがいいかイチゴがいいか。間をとってチョコバナナにするか」
ルンルン気分で帰る。だが、ふと、気になる気配を見付けた。
「や、やっぱり全乗せかな。報酬上乗せだ」
前方に向かってクナイを放つ。
何もない所でクナイが弾かれた。うまく気配を隠すものだ。
「つ!」
仮面の形状からして、さっき潰した奴らの仲間。
愚かにも、敵討ちをしに来たって所か。
飛んできたクナイを弾こうとして、動体視力が強化された目が異変に気づく。持ち手の滑り止めに走り書きされたのは、起爆札の簡易版。弾けば爆発。避けても後ろの部下か、地面にぶつかって巻き添え。
「ふーん。これはいい使い方だ。今度真似しよう」
クナイの方向を変える。飛んできたクナイの持ち手の輪に刃を突き入れ威力を殺す。
相手が動揺しているのを感じながら、オレのクナイの先で回転する相手のクナイをうまく制して、ちょうどソフトボールでボールを投げるようにして返した。
たが、既にクナイは回転している。だから投げ返されたクナイはまるで手裏剣の様に高速回転して戻ってきた。
さて、どうするのか。
わくわくと見守っていたが、相手は慌てて飛び退いてクナイを避けたのだ。
──なんだつまらん。
脚だけチャクラを練り込み、相手の背後をとる。
手にはまだクナイ。
恐怖を宿した目がこちらを向いたときには、すでに刃が肉を貫通している最中だった。
どさりと相手の体が崩れ落ちる。だが、死んではいない。
気絶させただけだ。
といっても、神経をやったので、もう動けないだろうけど。
「はい捕獲っと。これ、一緒に運んで」
「はーい」
手慣れた作業であるが、油断は禁物。
下手をすれば、かつての先輩にしこたま殴られ酷い目に合う。
もう班が違うけれども、時たま遭遇すれば苛められるので、もう一種のトラウマとなっていた。
怖い。ひたすらに怖い。
修行で体も心も壊されると思ったのは先輩が始めててある。
あ、ヤバい悪寒が。
「里に帰るまでが遠足です。気を抜かないように」
部下から笑いが溢れる。
暗部だからと冷たくするのはどうだろうと思ってなるべく明るくしようとしてるけど、どうなんだろう。出来てるかな。
初対面で必ず怖いって言われるからな。
処理を終え、大きく背伸びをする。
疲れた。
結局夜中になってしまった。
甘栗甘はすでに閉まっている。ガッデム。
九段先輩の家に食べ物ねだりに行っても良いけど、その前にナルトの部屋を軽く掃除をしよう。
そう思い、寝静まった里を起こさぬように、気配を消して家へと向かった。