第三部

□大嵐
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大蛇丸の放った潜影蛇手、裾から二匹の大蛇が飛び出しナルトとサイに襲い掛かる。だけど二人は難なく飛び退き回避した。
 
 
「やはりそちら側のようね、サイとやら」
 
 
面白くならそうな大蛇丸をナルトが睨み付けている。
 
 
 「ここはオレが止めるってばよ…!サイ、お前はサスケを探してくれ。早く!」
 
「……分かった。サスケ君はボクが見つけて助け出す」
 
 
ダッと駆け出すサイを見送り、迷う。
どっちも監視対象。せっかく二人揃ってたから都合が良いって思ってたのにもぉー!
心のなかで地団駄踏んでいたら、突然ナルトが「シゲル」と名前を呼んだ。
え、ナルトにはオレの気配はまだ感じ取れないはずと驚きながらも振り替えると、相変わらずナルトは大蛇丸を睨み付けながら言った。
 
 
「…多分、近くにいると思うから言うけどな、オレは大丈夫だからサイの方にいってフォローしてやってくれよ」
 
「……」
 
 
一瞬考えた。
 
どう考えたってナルトの状況の方がよろしくない気がするのだが。
いや、サスケの方も情報がないから危険なのは変わらない。
どうする?一応ナルトの方にはヤマト隊長が来るとは思うけど…。
 
 
「………」
 
 
ナルトを信じるか。
サイを追って駆け出す。ヤマト隊長が来るまで踏ん張れよ!
 
 
 
 
 
 
 
 
(うわっと)
 
 
サイに追い付くと鳥獣戯画で大量の偵察ネズミを放っていた。
オレの野生の小鳥片っ端から借伏してばら蒔くのに似ているなと思いながら様子を見ていると、サイがハッとしたように顔を上げた。
見つけたらしい。
術を解いて筆と巻物を片付けると駆け出す。
ナルトに知らせずに一人でいくのか。
姿を確認してから知らせるのか?
 
どちらにせよサイの後を着いていくと、最奥の扉へとたどり着いた。
 
そこでさらりと蛇三匹描いて部屋に投入。
 
さっきのネズミのままで良かったじゃんとか思いながらも観察する。
今のところ変な動きはなし。
何か仕込んだりする仕草も無かったから大丈夫とは思うけど、一応いつでも動けるようにしている。
 
 
 
 
 
「…誰だ?」
 
 
 
 
 
「!」
 
 
懐かしい声。
相変わらず刺々しいこの声は間違いなくサスケのものだ。
 
こそこそと移動してサスケの見える位置を探す。
 
 
「バレちゃいましたか…。でもボクはもう先手を取っている」
 
 
先手??
なんのだ?とサイを見ると、サスケから苛立ちの混ざった気配が放たれる。
 
 
「目的は何だ?」
 
「……ボクは君を、木ノ葉へ連れ帰る」
 
 
サスケの苛立ちが増す。
 
 
「もっとも最初は君を殺す気で来たんだけど…、ボクは彼が必死に手繰り寄せようとしている君との“繋がり”ってのを守ってみたいんだ」
 
 
 
 
ビリビリとした感情が容赦なく叩き付けられる。
苛立ちなんてものじゃない。殺意が混じっている。
 
 
「……つながり? 
 
   そんなことの為に…オレの眠りを邪魔したのか…」
 
 
 
ぎろりとサスケがサイを振り返り様に睨んだ瞬間、反射的にオレの体が動いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ってぇー〜〜〜……」
 
 
思った以上の衝撃に変化が解けてしまった。
足元に転がっているサイはオレが庇ったから無傷だ。まさか天井が崩壊するとか思わなかった。
とはいえオレも無傷だけど。
 
 
「ぅ……」
 
 
サイが起きたらしい。
ゆっくりとこちらを見て、驚いた顔をしていた。
 
 
「君…もしかして……」
 
「あーあー、勘違いするな。これも命令だ」
 
 
味方だった場合の保護命令。
もちろんこいつが弱くないのは知ってはいるが、不意打ちには誰だって弱いから、それをカバーするだけだ。
 
それを言わずとも理解したくれたようで、サイはその後は何も言わずに、オレの姿の向こう側、つまりこの崩落事故を引き起こした張本人を見た。
オレの見上げた先に彼がいる。
逆光の中、オレ達を見下ろす影。
 
 
サイが彼に向かって言う。
 
 
「さすがですね…。ボクの術を強引に振りほどくとは…」
 
 
複数人の足音を察知した。
足音のパターンからいって、ナルト、サクラ、ヤマト隊長だ。
その内のサクラが何故かサイの首目掛けて突進してきたので、オレが慌ててサクラの腕を掴んで阻止するとサクラに思い切り睨み付けられた。
 
 
「何するのよシゲル!」
 
「いやいやそれこっちの台詞!?なに!?」
 
「なにって、そいつが──」
 
 
え、こいつずっと見てたけど何かしましたっけ?もしかして崩落事故の時になにか損害与えた??
 
 
 
「サクラか…」
 
 
 
 
サクラがゆっくりと声の在処へと顔を向けた。
震える唇。今にも泣きそうな顔で、サクラは彼の名前を呼ぶ。
 
 
 
「…サスケ…君…」
 
 
 
 
 
 
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