第三部

□束の間の
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報告を終え、睡眠を取るべくフラフラしながら家へと戻った。
眠い。すさまじく眠い。
あまりにも眠すぎてこのまま永眠できそうなレベルだ。

チャイムを鳴らしてノックをする。
すると鍵が開いてオレが顔を出した。
正確にいうと、影分身のオレだけど。


「おかえりー」

「ただいま……。チョー眠いし腹へった……」

「お疲れ様。でもその前に風呂入ってこい」


こういう過労死寸前の場合、影分身は大いに役に立つ。
オレの場合、掛け持ちしているせいで圧倒的に私的な時間がない。
睡眠時間が無さすぎる!!!
こんな成長期に睡眠2〜3時間ばかりでは将来の健康状態が不安すぎる為、オレは戦闘力が落ちる覚悟で影分身を2体作り、1体を完全にオレのサポートとして家に配置し、もう1体を様々な知識を溜め込む為(&書類作りの為)に秘密空間へと配置していた。
これで任務をしながらも人間的な生活を辛うじて送れ、かつスキルアップも出来るという優れものだった。

使えるものは使わなければ損である。


風呂に入ってスッキリした。
次は眠すぎるので寝ることにする。


「あれ?寝るの?」


自分用の布団と枕を手に秘密空間に行こうとした時に、影分身から声をかけられた。
普段なら何も言わずにスルーするはずなのに。
思わず動きを止めて影分身の方へ視線を向ける。


「実はさっきナルトが来てな、焼き肉に誘われた」

「!!??」


思いがけない言葉でオレは布団と枕を一旦置いて影分身へと向かう。
がっしりと影分身の肩を掴み、訊ねた。


「もちろん行くと答えたんだよな?????」

「我が事ながらナルトラブ過ぎるだろ。当たり前に行くって言ったわ。行くだろ?」

「行くよ!!!!!!」

「声でけーな。超元気じゃん」


焼き肉に行くのならきっとイノシカチョーも居るに違いない。
しっかりと体力を戻してから挑むのが焼き肉の礼儀だ。
そう教わった。チョウジから。


「じゃあ30分後に起こして!!!」

「ハイハイ。お休みなさーい」


秘密空間へと渡り、本に埋もれている影分身がこちらをチラ見しているのを見ながらオレは寝た。








目が覚めた。
体感睡眠時間は10時間。


「ふぁ、あああーーーーーーっっ!!!、はぁ……」

「おはよう。よく寝たね」

「おはよう。そっちはこれから睡眠?」


影分身が違う場所で横になっていた。とするならば向こうはこれから寝るのだろう。
ここは時間の流れがすごく遅い。
だから体内時計が狂いに狂う。
しかし、だからこそ他の忍達よりもオレは多くの睡眠時間を取って寝溜めが出来るのだ。
ちなみにあの影分身は次の起床で術を解く予定だ。
どうせ経験値として吸収されるのならば、睡眠時間も吸収しておきたい。


「……お腹すいた」


さっきまで鈍かった食欲が戻ってきた。
これなら焼き肉を存分に味わえるだろう。

秘密空間から戻ると、ちょうど起こそうとしていたらしい影分身と遭遇した。


「あれ?もう良いの?」

「うん。満足した」


机を見ると、服が置かれていた。
準備してくれたようだ。

服を着て、髪を整える。よし、バッチリだ。


「何か要るものある?帰りに買ってくるよ」

「大丈夫、もう買ってきたし。それより楽しんできなよ」


つまりはこっちの事は気にせずに心から楽しめってこと。


「ありがとう。いってきます!」


ばたんと扉を閉め、目的地である焼肉Qへと向かった。
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