第三部

□束の間の
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ナルトの様子を見に行くと、地形が変わっていた。
何の変哲もない平野が、瀑布(ばくふ)と化していたのである。
なんで?

木陰で休憩しているナルトの側にカカシ先生とヤマト隊長がいた。
なるほど、ヤマト隊長はカカシ先生の掌の上で転がされている訳ですね。

そう思った瞬間、ギョンと凄い勢いでこちらを見上げてきたヤマト隊長と目があった。
怖いよ、なんでオレに対してだけそんなに探知能力上がるんですか。

ついでカカシ先生がゆるりとこちらに視線を向けて確認した。

この緩さが安心する。



「!」


ヒューンと鳴き声を上げて忍鳥がやってきた。
シカマルと同じように、オレの元へと降りてくる。

三人の視界から外れるように移動してから忍鳥を腕に留まらせて、ロール状にされた指令を受け取る。


「……!?」


そこには緊急とされた簡潔な内容と収集命令が記載されていた。
内容は、火ノ寺襲撃、※ヒの組織の可能性有り。(※ヒの組織、暁の隠語)とあった。

オレはしばし考える。
通常の襲撃だけならば1小隊、多くても3小隊で事足りるはずだ。
それにシカマルの所属する小隊が行くならば、オレの小隊の出番はない。
順番は基本、表忍から順に選ばれ、暗部が一人ないし二人ほど所属している小隊にまで指令が下ってくるのは早々ない。
何せオレ達は表に常駐している訳じゃないからだ。

確かにこの間、複数小隊で行動する為に新しく編成されたが……この規模、もしかして火ノ寺は全壊しているのか?


「……いくか」


ナルトの修行は気になるが、任務優先だとオレは指定された火影邸へと急いだ。








火影邸の屋上。
二十小隊が大集合していた。
ヤバイなこれ。

オレの並んでいる列の前方にはアスマ隊長とシカマルがいた。
ちなみにオレが所属しているのはトバリ隊長が率いる小隊。構成は半々だ。表忍が二人と、暗部が二人。
オレとトバリ隊長だ。


綱手様が今回の内容を伝えてくる。
その内容にどよめき立ちはしなかったものの、雰囲気がピリつく。


「話はここまでだ。何か質問のある者はいるか?」


そこにアスマ隊長が挙手をした。


「何だ?」

「あそこには、元“守護忍十二士”の地陸がいるはずです。彼はどうなったんですか?」


その質問に、綱手様の左手にいる僧が答える。
彼は、その襲撃された火ノ寺から木ノ葉へと情報を伝えてくれた人物だ。
彼は悔しげに歯を食い縛り、そしてゆっくりと言葉を紡ぐ。


「……、地陸様はそやつらの手にかかり、
      死にました。    」


息を飲む気配があちらこちらから感じる。
守護忍十二士の話はオレも知っている。


「奴らの目的も知りたいが、かなりの手練れだ。身柄の拘束が不可能な場合は抹殺しろ。
火の国から逃すな、必ず見つけ出せ。

  行け!!  」


散!!という合図と共にそれぞれの小隊が出発する。
アスマ隊長は恐らく火ノ寺から当たるだろう。
トバリ隊長に目をやると、意図を察して答える。


「我々は火ノ寺から西部を探索する。少し気になる事があるからな」








トバリ隊長の言う通りに耳を済ます。

命令された内容は、町中の違和感の探ること。
トバリ隊長曰く、アスマ隊長含め守護忍十二士には懸賞金が掛けられているとのこと。
今回の被害者である地陸にも懸賞金が掛けられており、死体を持ち帰られているのであれば、換金所へと持ち込まれている可能性が高い。

大の大人を持ち歩くのだって大変なのだ。
別のものに変えられるのならさっさと変えたいだろう、というのが隊長の意見。

換金所は隠されている場合が多く、その際に使われる隠し扉は独特な音がする。
その音を関知しろと言うことだ。


「……」


オレ以外の隊員も探し回っているが、今のところはそんな異音も感じない。
狼コンビも呼び出してみたが、それらしい匂いもない。


「シゲル!」

「隊長、どうしました?」


トバリ隊長がやってきた。


「アスマ隊長からだ。やはり換金所を探せと来た」

「先輩は先読みの能力でも持っているんですか」

「ここは調べ尽くしたから、次へ行くぞ。みんなに知らせろ」

「了解です」


借伏した小鳥を飛ばし、オレ達は次の換金所へと向かう。
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