主人公組のイベント短編(ハロウィン!)
□19.二人の楽しいハロウィン(青年期)
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何処かで野良犬が鳴いている。
そんな中、一人の忍者がフードで目一杯顔を隠して屋根の上を疾走していた。
雲からわずかに覗く月からもたらされた光で、フードから見えた髪が金色に照らされている。
目指すはシゲルの所だ。
「ヘヘッ」
手に持っているのはカボチャの鞄だ。
アイツはこういう行事を大切にするやつだ。きっとたくさんのお菓子を用意しているに違いない。
真新しい一軒家にやってくる。表紙には草木の文字。
ベルを鳴らすのももどかしく、扉を叩いた。
「おーい!シゲルー!!」
ドンドンドン!
昔よりは静かになったと思うが、それでもこんな楽しいイベントの時は声が大きくなる。
二階の部屋の明かりが付いているから中にいることは明白。
さあ、あきらめて出てきてお菓子を貢げ。
足音が近付いてきて扉を開けた。
珍しくタオルを頭に被せているが、お風呂に入っていたのか?
だけどもそんなこと関係ないとナルトはフードを外し、シゲルに向かって。
「トリックオアトリート!!」
と叫んだ。
「おお!誰かと思ったら…」
それに驚いたシゲル。
現在のナルトは狐のコスプレをしている。
というよりも、ハロウィン時期に配布されたどっかの凄い発明家が作った護符の簡易版が流行し、一夜だけ耳やら尻尾やらが生えるという代物らしい。を使っている。
頭からは狐の耳。
尻からはモフモフの尻尾が生えていた。
ナルトは言った。
「さあ!シゲル!悪戯されたくなければ大人しくおかしををををーー!?」
言っている途中でナルトは家の中へと連れ込まれた。
「えええ?なに?」
困惑しているナルトを余所に、シゲルは後ろ手に扉を閉めて鍵をかける。
「奇遇だなナルト」
タオルをとる。
すると、シゲルの頭からは狼の耳が。
「へ?」
気が付かなかったが、狼の尻尾も垂れている。
ユラリユラリと揺れて、シゲルがナルトの方へと近付いていく。
「トリックオアトリート…。ちょうどオレもお菓子を欲していたんたが、どうやら持ってなさそうだね」
「え?え?」
ジリジリと後退するナルト。
遂に壁に行く手を阻まれて動けなくなってしまった。
「さーて、悪戯をしてやろう」
「………お、お手柔らかに…」
その後二人はたっぷりと夜が明けるまで楽しみましたとさ。
(何がとまでは言わない。好きな方で想像するんだ!)