短編BOX

□NGシーン
1ページ/13ページ

そういえば今日は老人がいないな。 部屋のなかを見渡してもそれらしき影はない 。


「…………これはチャンスじゃないか?」


外に出るための。

そうと決まれば即行動。 左腕に付けられた点滴の管を針ごと外してベ ッドから下りた。


スタンッ


「ん?」


おかしいな、オレの感じでは片足を下ろせば すぐに床だと思ったのに思った以上に床が遠 くて両足どころか体ごとベッドからずり落ち て着地した。

どんだけ高いベッドに寝てたんだろうと振り 返ると、異様にベッドが大きく見える。


「あり?」


再びベッドから視線を外して部屋のなかを見 渡す。なんか、視線が低くないか?

というか、全ての物が一回りか二回りぐらい サイズアップしている気がする。


「…………………まさか…」


慌てて足を見下ろすと凄い近くに足が見える 。次いで自分の手を恐る恐る目の前に持って くるとそのあまりの小ささに唖然とした。

紅葉のおてて…。

変な言葉が頭をよぎる、頭まっしろ。

何これ!!!??


「ジジイーーーーーッッ!!!!」

「シゲル、どうしーーうおっ!!?うぉあああああぁぁぁぁぁぁ……」


ドッシーーーン!!!


「………」


じーちゃんが扉の向こうで着地した瞬間床が抜けたらしい。見事に声がフェードアウト。


「うわわわ!!ウルシさーーん!!!」

「ちょっと!セット係!此処は頑丈にしておいてって言っておいたじゃないですか!!」

「すみませーーんん!!」

「やべぇ!結構下の方まで落ちちゃってる…、ウルシさん!聞こえてますかー!?」

「大丈夫じゃーー!」

「ああ、良かった!生きてた!」

「誰か縄梯子かロープ持ってきてー!」


現場のセットは頑丈に作っとかないとすぐ壊れます。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ