短編BOX

□数ある分岐のなかで、壱
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鏡の表面に触れてみる。そこは滑らかでガラスのようだった。突如腕をあげてウルトラマンビームのポーズをとる。寸分変わらず同じタイミングで繰り出されるビームポーズ。
これで確定した。これは鏡で、ガラスの向こう側にいる誰かがオレの真似をしているわけではないらしい。


やだー、超若い。若い通り越して幼い…。

この ぷにぷにのもち肌には荒れた様子もニキビの気配もない。頬を触ってみると筋肉質ではない子ども特有の柔らかさが感じられた。

半分思考停止状態でズボンの中を覗いてみると、ソイツは若々しくこじんまりとした様子で収まっているどころか、存在さえしていなかった!!思わず二度見!!え!?嘘だろ!嘘だと誰か言ってくれ!!


「オレの性別なんだよ……」

「何を言うとる、可愛い6歳女児じゃろが。あと女の子がオレと言うてはいかん。ワタシと言いなさい」



思わず零れた言葉に老人が返答する。そうかオレ6歳なのか、10代通り越して一桁なのか…、通りで若々しいはずだよ……。そしてやっぱり女なのかーーーっ!!!!くっそう!!年齢云々よりも性別逆転してる方が問題過ぎるわーーーっ!!!!



頭を抱えて嘆いていると、気付いたら床へと下ろされていた。


マジかよー……本当に意味がわかんねぇー……性別逆転とか、どんな らんま1/2だよ、逆転裁判だよ………。

ナルトよ、いつかのナルトくんよ、天地が逆転しても性別は変わらないと仰りましたね。オレ、天地が逆転しなくても性別変わっちまったんですがどうすれば良いんでしょうか………?


思考が明後日の方向へ飛んでいる間に、老人が言った。



「なんじゃ、自分の顔みて変な表情しよる。可愛い過ぎて自分に惚れたか?」

「んなわけないだろ、どう見たらそんな解釈になるんだよ……」

「体が疲れとるんじゃよ、部屋に戻るか?」

「からだっつーか、精神的な疲労だよ…」


身も心(大大大ダメージ)も色んなショックで疲れ果てていたオレは老人に手を繋がれてヨロヨロ元来た道を戻っていった。


オレ、これから女として生きなきゃいけねーのか………。


今後が大変不安なシゲルであった。
 

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