第一部

□アカデミーと先生と口寄せ相手
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目の前に出された煎餅とお茶。
糊のパリパリ具合がたまらんです。



「もともと、草木と葉渡は遠い昔は同じ草木一族でな。色々あって二つに別れたのじゃ」

「ふーん、色々…」













遠い遠い昔。
まだ世には一国一里の制度はなく、忍びも一族での組織で争っていた。まさに戦国時代。その時代に隠れるように存在していた一族、それが草木一族。
戦闘をあまり好まない温厚な一族でありながらチャクラ量は多く、しかしその使い方は戦闘には使わないためごく一部にしか知られることはなかった。
特殊な瞳の能力を有し、世界の情勢を観測者として記録し続けていた。











「特殊な瞳?三大瞳眼の事?写輪眼とか白眼とか…」

「そう言うことはよく覚えているのぉ。そうじゃ、それらはワシらは“表”の三大瞳眼と呼んでおる。主に戦闘に特化した能力だからじゃ」

「ということは、オレらのは」

「“裏”と呼ばれるものだ。戦闘には直接関係がないのでな、あまり重要視されることがないのが幸いした。動物の動きを止めたり、手伝いをさせたからといって強くなるわけでもない。辛うじて役に立つのは心話という心での会話くらいだしな」


なるほど、戦国時代には役に立たなかったから漫画にも出てこなかったのか。


「じゃあさ、なんで二つに別れたの?たいした能力じゃないのにさ。なにか問題があったの?」

「そう、戦闘ではなく、情報に特化した能力。それがだった問題なのじゃ」

「?」

「草木も、葉渡と同じく裏の瞳眼を持っていてな、“緑継眼”と呼ばれる」

「リョクケイガン…」

「緑継眼は主に情報や経験の吸収と蓄積を能力としている。これが世界の情勢を記録し続けていた能力で、一部の者達からは観測者と言われていた由縁じゃ。戦争に関与するわけでもなく、外側から淡々とその瞳に記録を録っていたからの」

「それの何処が問題なの?」

「緑継眼の継承は血で行う。記録は瞳と血に蓄積されて、なん世代にも遡りながら記録を蓄積する。その為草木一族にはある特性があって、その蓄積された記憶を使って独自の戦いかたをするのだ」

「独自の…」

「印の特性を分析し、改良、組み合わせ…人間の動きの特徴、思考回路、チャクラの性質変化の仕方…。草木一族はこの瞳のせいか研究家が多く、故にオリジナルの術が数多く生み出された。あまりにも術が独特過ぎて草木一族は異世界を渡れる一族と言われたくらいだ」


…すげー、草木一族すげー!!
いいのかな?オレ草木シゲルで。オレ頭悪いのにいいのかな?


「しかし、その能力を狙うものも多かった」


じーちゃんの表情が翳る。



「観測者として長い間歴史を記録し続けていたその瞳と血はいわゆる機密情報の塊だ。その情報を狙う輩も多い。そこで草木一族には一つの掟が出来た。それが緑継眼を開眼し、一人前と認められるまで“草木”ではなく、“葉渡”の名を語るという掟だ」


なるほど。葉渡と草木とでは能力が違うから狙われる確率が低くなるからか。


「一人前と認められる条件の一つはは中忍以上の実力を身に付けること。そうすればやすやすと殺られることもない、そう考えての事だ…。ここまでがシゲルを葉渡シゲルと先生が呼んだ理由。なにか質問とかはあるか?」

「んー、今んところはないかな?」


というか、頭のなかも少し整理したいし。
じーちゃんにありがとうとお礼を言うと頭を撫でられた。いつもの力強いのとは違う慈しむような優しい撫で方。


じーちゃんの顔には笑顔が浮かんでいたが、何故か同時にその顔が泣いている風にも見えた。
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