第一部

□知ること隠すこと躊躇うこと
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オレはとても悩んでいる。今朝の修行を終わらせ、アカデミーでのんびりツバメ先生の授業を受けているが頭のもやもやが取れない。


「今日のシゲルどうしたんだ?」

「風邪?」

「あいつがか?風邪の方が裸足で逃げ出すだろう」

「あー、うん。そだね」


隣で原作ズがコソコソ話しているが、今は反応する気も起こらない。

悩んでいるよりも、オレは焦っているのだ。



焦っている原因はこれだ。こちらに来てもう半年になるのに、一向に帰る手段が見当たらない。

アカデミーの図書館から木の葉の里の大図書館まで調べているのだが、全くといって良いほど情報なし。
世界を渡るという事は時空間忍術かと途中で気づいてそれを中心に文献を漁るも該当なし。まさに八方塞がりなのだ。


あちらのシゲル君がどうにかしてくれるという可能性も否めないが、何せあっちは6歳児である。どうにかする前に、オレの元の体が心配すぎる。



「あ″ーーーーー!!!」

「うぉ!?」

「変な声出すなよ、ビックリするだろ」

「シゲルくん!授業中は静かに!!」













ひゅんと飛んでくる模擬手裏剣を模擬クナイで叩き落としながら考える。だいたいオレはいつどうやってこちらに来たんだ?

特に変わった事をしたような記憶もなく、いつもどーりの休日を、だらだら過ごしていた記憶はある。が、気付いたらこちらの病院で寝ていた。

実をいうと、あちらからこちらへ来る時の記憶がないかと散々思い出そうとした時期もありました。

しかしながら、記憶に途中から霞がかってよく思い出せないうえに、何故か頭痛までしてくる始末。

何か記憶を封じる封印術でも知らない間に施されたのかと思い、鏡を使って体を隅々まで調べたのも記憶に新しい。結局傷痕の位置を確認しただけで終わったがな。


二方向から来た模擬クナイを弾きながら、相手の腹に蹴りを入れ、もう一方の相手には腕を掴んで投げ捨てた。



はぁ、どうしよう…。



「はい!練習終わり!次のグループ来なさい」


ツバメ先生の声でハッとする。
あ、そうだ。今の時間模擬武器を使っての疑似戦闘訓練だった。

よく見るとオレの回りに男子生徒が二人ほど涙を溜めて呻いている。考え事してたからもしかして強くやっちゃったかもしれない!!



「ごめん!!考え事してて、大丈夫?起きられる?」



うっかり良いところに入ってしまったらしく、二人ともそのまま保健室行き。ほんとにゴメン!!オレは保健室に向かって手を合わせた。
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