短編BOX

□大人になった君へ(ナルトバースデー)
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早速だが、ナルトの誕生日である。
この日のためにコツコツと材料を集めてケーキ(ホール)を作り上げ、食事も豪勢なものを作って、隠し部屋の冷蔵室(なんとか引っ張り込んだ。電力ではなく氷で冷却。オレが出ると時間が止まるのでずっと冷えてる)のなかに押し込んだ。
あとはやつの誕生日プレゼントなのだが。
 
「今んところこれしか思い付かないんだよな」
 
収納式巻物。ナルトも何だかんだと遠征が多くなっているし、家を開けることが多い。
オレが隣家だから空き巣なんてさせるつもりはないけど、もし里が何らかの被害にあるような事件が発生した場合、貴重品とか一点ものはここに仕舞って保管していた方が安全だ。
オレも仕舞って里外に隠している。
遠征多いし。
 
と、考えたときオレはふと思い出した。
そういえばナルトの友好関係が増えたなと。
子供時代祝ってやったのはオレやズク兄くらいだったけど、今じゃ自頼也や同級生、イルカ先生もカカシ先生も、もちろんツバメ先生だっている。
 
「……、……」
 
冷蔵庫の扉を閉めた。
もしかしたら、誕生日は何処かのお店でやるかもしれない。多分、そっちのが良いだろう。
このご馳走達は何かと理由をつけて小出ししていけば良いや。
 
 
 
 
 
ナルトの誕生日に指名任務入れた糞やろうはどこのどいつだ!???
よりにもよって暗殺の指名任務が入ってしまった。オレは泣く泣くナルトに「……ごめん……まじごめん……指名入った……」と説明した。ナルトは「シゲルってば人気者だからな」と仕方ないと笑顔て送り出してくれたけど、オレが泣きそうだった。
さっさとサクッと片付けて終わらせたい。
 
 
 
 
2日掛かった。
誰が他国の忍と乱闘になると思うよ??
国境を跨いで逃げ回られたから変に時間が掛かってしまい、とっくにナルトの誕生日は過ぎ去った。泣きたい。
 
 
 
「……ただいま…」
 
家は真っ暗。きっとナルトも任務に行っているんだろうと扉を開けた瞬間、電気が着いた。
 
「お帰り!」
「ナルト!?」
 
そこには本日の主役と掛かれたたすきを引っかけ、三角帽子を被ったナルトがいた。
 
「もー!遅いってばよ、ずっと待ってたんだぞ!」
「え?え?」
 
大混乱しているオレを引っ張り机に先導する。その机の上には不格好なチャーハンが二つあった。
 
「やっぱり誕生日はシゲルと一緒じゃないとしっくりしなくて…」
「お前修行期間あったじゃねーか」
「それとこれとは別だっての!!」
「ははは、すまんすまん」
 
冗談でからかってやると、ナルトがほっぺを膨らましていた。可愛いなこいつ。
でもナルトの言葉がジンワリと心に染み込んで、思わず泣きそうになった。
 
「そうだ、ナルト。実はオレ、ケーキ作ってたんだ。後で食べようぜ」
「まじ!?やったあ!」
 
ナルトの作ってくれたチャーハンを食べる。不格好だけど、結構うまい。
その後ホールケーキを出して二人で食べた。
 
誕生日プレゼントの巻物を取り出し、ナルトに渡した。
「ナルト、これ誕生日プレゼント」
「おお!すっげ!高かったろこれ!」
「まぁね、でも貴重品入れるなら高い方が安全だからな。ちなみに火でも燃えないし、水でも滲まない。切れないし、暗号じゃないと開かないという最高品質だ。これならどっかに埋めてても勝手に朽ちたりしないぞ」
「すげぇ。大事にする。使うの勿体ねぇな」
「いや使えよ。使ってくれた方がありがたいわ」
 
頬を染めながらいそいそと鞄にしまい込んだ。
 
「なぁ、ちょっとシゲルに個人的なプレゼント欲しいんだけどさ」
「? あげたじゃないか」
「そのー、…あの…」
 
モジモジしている。
本当に可愛いなこいつ。
 
「わかったわかった。なんだよ」
 
ナルトの頬が明るくなる。
 
「二人の休みが合ったらさ!どっか遊びに行きたい!」
「へぇー、なるほど」
 
目から鱗。確かに思えば二人とも多忙で全然遊べてない。昔はずっと遊んでたのにな。
 
「いいぞ!死に物狂いで休みをもぎ取ってきてやるよ」
「やったぁ!楽しみだってばよ!」
 
 
 
 
その次の月、本当に死に物狂いでもぎ取った連休で、ナルトと一緒に短冊街へ遊びに行ったのであった。
ナルト、ハッピーバースデー!


 

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