短編BOX
□主人公の性逆転物語
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あれから随分と男に戻るための悪あがきをした。幻覚を消すのと同じ要領でチャクラの流れを止めてみたり、長ったらしい印を逆から組んでみたり、もしかしたらチャクラ切れで戻るかもしれないと限界までチャクラを使いまくって気絶してみたり…。
結果は、戻りませんでしたねどね。
「どーーしよーーー………」
頭を抱えてみても祈りを捧げてみても現実は非情だった。
チクタクと秒針は進み、そろそろ任務に行かなければならない。休むという手も考えてみたのだが、連絡手段がない上にナルトに頼んだらややこしいことになりかねない。
「おーーい!シゲルー!!そろそろ行こうぜー!!」
「!!」
来た。
「あれ?寝てんのかってば?」
「い、今行くからちょっと待ってて!」
「ん?なんか声おかしくない?」
「……気のせいだろ?すぐ支度するから、そこから動くなよ」
これはもう腹を括るしか無いみたいだ。
と言ってもいつも来ている服じゃパツパツ過ぎて動けたもんじゃない。仕方がない。
とあるクローゼットの前で失礼しますと頭を下げて扉を開ける。黒系の大きめの衣服が並んでおり、どれも肌の露出率が低い。ズク兄の服である。
ごめんなさいと内心で謝り袖を通すと少し大きいながらも着れた。
何となくこのブカブカ加減が楽、理由は動きやすいのと通気性が良いから。
「あ」
そこで重要な落ち度に気が付いた。
このでかい二つの物体をどうしよう。
隠すのは無理だと悟りさらしを救急箱から取り出して胸に巻き付ける。即席ではあるがこれで動きやすくはなるだろう。
必要な荷物を持って扉を開けた。
「シゲル!遅いってば………よ……?」
「………」
「………」
固まること数秒。
気まずい空気が流れるなか一言も発せないでいると、ナルトがハッとした顔で拳で手のひらを打った。
「なに朝からおいろけの術なんかしてるんだってばよ」
「オレ今回ばかりはナルトがナルトでよかったって心底思ってるわ」