§其の参§
□偶然と必然
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…それは単に偶然だったんだろう。
あの日、あの時、あの場所で、
あいつと出会ったのは。
『しんしんと…』
そう言って、あいつは真っ直ぐにオレを見ていた。
強い瞳で。
…どこか悲しそうに。
“そういや、最初に出会った時はほとんど会話にならなかったなぁ”
そんな事を思い出し、なぜか笑いが込み上げる。
いきなり敵対するかと思いきや、踵を返して立ち去ろうとするし、
戦う意志がないのかと思えば、攻撃(ウォーターロック)だ。
訳わからねぇ事を言って泣き出すわ、怒り出すわ…
?
今も大して変わってねぇな。
…結局、あの頃から振り回されっぱなしって事か?
自然と手を口にあて、笑いを噛み殺す。
“まぁ、そんな人生も悪くねぇか”
そんな事を思いながら、歩いていく。
あいつの居る、ギルドまで。
あいつが待つ、ギルドまで。