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□〜決意〜
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まだ陽も昇らぬ夜明け前。

グレイは音をたてないように部屋のドアをそっと開けた。
普段は絶対に入らないと決めていたその部屋の主である、
彼女の側に歩み寄る。

薄いレースのカーテンから漏れる残月の光が、
淡く蒼く彼女の部屋を映し出す。

彼女〜ジュビア〜は、グレイの人形をしっかりと抱き締め、
ベッドの中でスヤスヤと寝息をたてていた。

“何にも疑わねぇ顔して寝やがって”

ジュビアの安心しきった寝顔を見ながら、グレイは微かに笑う。
出来る事ならジュビアの頬に触れたいが、
彼女を起こしてしまっては、身も蓋もない。

“………”

暫くジュビアの顔を見つめると、グレイはゆっくりと瞳を閉じ、
やがて静かにその部屋を後にした。
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