短編
□政宗
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「調子はどうだ?」
「……身体中のあちこちが痛いねェ」
俺が言うと、目の前にいる政宗がニヤリと妖しく笑った。
何故こうなってしまったのか?
前まではこんなんじゃなかったのに。
「俺は政弥を愛してるんだ。誰よりも、なァ?」
「そうかい。じゃ、俺は幸せ者なんだ。武将である政宗にこんな愛されるなんて」
俺は自分と同じ顔をした政宗を見つめた。
幸せ者だなんて、俺はこれぽっちも思っちゃいない。
ここは日が当たらず、ずっとずっーと暗闇だ。
地下室の牢屋に入れられている。
俺が考え事をしていると牢屋の中に政宗が入ってきて、俺の頬を思い切り殴った。
っ! いっ……てェ。
殴られたせいで口内を噛んでしまい、血を口から溢してしまった。