短編
□狂う
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風が吹く。
強く、まるで俺を吹き飛ばしてしまうような風が。
ああ、一体ここは何処なんだ。
迷子なんて思わないんだから!
冗談はさておき、一応この場所を知っておかないといけない。
「さて、誰に聞けば良いのやら」
(迷子なのか?)
「迷子と言われれば迷子だけ……って、誰?」
たつい答えそうになったが、後ろを振り向くと兜を被った青年がいた。
あれ? コイツ、風魔だよな?
「風魔小太郎。なんでテメェがいやがる。つか、いま喋った?」
(心の中でな。伊達政宗じゃない?)
「攻撃してこない……俺は伊達政弥だ」
攻撃してこない風魔に驚きながらも、俺は自分の名を名乗る。
俺が政宗と名乗っても、風魔相手には騙せない。
俺は政宗とは逆のほうに眼帯を付けているし、瞳の色が違う。