運命共同体
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目の前には首を門に挟め苦しそうな康一君と、門を足で抑えつけ康一君の首を圧迫している…背の高い強面の男子高校生。
「ひとの家をのぞいてんじゃねーぜガキャア!」
うわ、これが田舎の不良か。その言葉を立体化させたような容姿だった。柄が悪くて威圧感がある。仗助君とはまた別なタイプだなあと思った。
「おい!いきなり何してんだてめーっ!イカレてんのか?…放しなよ」
「この家はおれの親父が買った家だ。変な詮索はするんじゃねーぜ、二度とな。」
「ちょっと、わかったから足どけなさいよ!苦しそうにしてるじゃない!」
人のことを考えられないようなみみっちい男は嫌いだ。外見ばかり怖くして中身もダメなんて最低だわ!
「ア…?なんだガキ!てめーはすっこんでろッ!だいたい人んちで好き勝手詮索しといてその言いようたァ口のきき方がなってねーんじゃねえのか?」
「てめーの口きけなくする方法なら知ってんスけどね…」
いっこうに足をどけようとしないしガキ呼ばわりで失礼にもほどがある。門をこじ開けようと一歩出たら空を切る音が聞こえた。
「なにィーーーッ?!」
「こ、康一くんッ!!」
どこからか矢が飛んできて康一君を貫いた。嘘でしょ、と心臓がドクドク鳴る音が聞こえる。それに足が震えた。
だがそれを見た目の前の不良はそうなるのが分かっていたかのようにクルッと振り返り上を見上げた。
「兄貴…!?」
「なぜ矢で射ぬいたか…聞きたいか?そっちの奴が東方仗助だからだ。アンジェロを倒したやつだということは俺たちにとってもかなり邪魔なスタンド使いだ」
アンジェロ、スタンド…?何の話かわからないけど、この"兄貴"と仗助君は知り合いなのか…?聞きなれない言葉に眉をしかめた。
「億泰よ!東方仗助を消せ!」
この人はさっきから何を言ってるの?消せだとか、本当にできるはずないじゃない。
「血を吐いたか…こりゃあだめだ、死ぬな…。ひょっとしたらコイツもスタンド使いになって利用できると思ったが…」
「どけッ!まだ今なら傷を治せるッ!」
仗助君が前に一歩出ると不良が立ちはだかった。そして何やら場の雰囲気が変わる。
「だめだ!東方仗助…お前はこの虹村億泰のザ・ハンドが消す!」
「いくぜ〜っ」
目の前で不良の顔がグルンと横を向き血を吐いた。彼らは何も動いてないはずなのに…どういうこと…?
「どかねえとマジに顔をゆがめてやるぜ…」
「ほう〜ッ、なかなか素早いじゃん」
何も動いてないように見えるけれど、何か起こっているらしい。
上からまた声がかかった。億泰と言う不良はまたしても声のする方向を振り向く。
その間に私はコソッと間を縫い康一君のもとへ行った。
周りに聞こえないよう、顔を近づけて小声で話しかける。
「康一君…?康一君……こういう時は動かしたりしちゃダメなんだっけ…」
肩に触れたところでその手をそっと戻した。仗助くんは治せる、といったが家に何かあるのかしら。それにしてはその場を離れる気配はない、むしろ立ち向かっていく感じだ。
後ろで大きな音が聞こえた。振り返ると不良がぶっ飛ばされていた。
「康一ッ!…よかった、まだ生きてるぜ…これならまだ助けられ…」
「許さねえぜ…もう許さねえッ!」
血は出ているもののすぐに回復したのかまた立ち向かってきた。
何か起こっていることはたしからしいが私には何も見えない。
でもダメージはある。仗助くんが血を吐いた。
「仗助君ッ!」
だめだ、康一君から離れて、その間に康一君がもう一人の奴に何かされたら大変だ。
この矢は抜いていいのかしら…?いやでも、抜いたらさらに出血が酷くなる。どうすることもできなくて歯ぎしりをした。
まず銃刀法違反で捕まるんじゃないかしら、警察を呼ばなきゃ…あ、携帯がない。服のあちこちを探したけど無いということはおそらく門の外に置いてきてしまったトランクの中か。
「どきな」
声がした方をみると、見知らぬ男がいた。背の高い厳つい男だ。
「え…、あっ」
康一君が殺される、そう思って康一君を抱きしめるようにして拒否した。
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