運命共同体

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説明を聞くと、お父さんはスタンドの才能があったらしくそれを見つけたDIOにカネと引き換えで手下になったらしい。
だが十年前そのDIOが倒されたときに、頭に仕込まれた肉の目が暴走しこうなってしまったと。
そして肉の目はDIOの不死身の細胞の一部だ、一体化したことによりお父さんも死なない体になってしまったらしい。


そのお父さんは、何やら箱の中をゴソゴソ探し始めた。これだけは、いくら言ってもやめないらしい。中は空なのにいつまでも探し続けている。

「ちくしょー、やめろっつってんだよ!イラつくんだよ!」

お父さんを蹴り上げ、倒れ込んだところをまた踏みつける。流石に、ここまですることはないのに。けれど大人しくなるまで一向に暴力をやめようとしない。

「おい、そこまでにしとけよッ!」

仗助君の声に舌打ちをし、そちらを見ると弓を強く握り言った。

「…というわけでよー、絶対にこの弓と矢は渡すわけにはいかねーっ、絶対になッ!!」

また一戦交えるのかと思った矢先…仗助君は思わぬものを攻撃した。

「勘違いすんなよ…気になるのはこの箱でよーッ!」

箱は粉々に壊れ、また元通りに直っていく。だけどその箱の中に別の物も修復されていた。

「写真…?」

「何か…ちぎれた紙切れのようなものをつまんでるから形を直してみたら何かと思ったら…なるほどな」

形の戻った家族の写真を拾いあげると、お父さんは声(いや、うなり声と言っていいのか)をあげて泣いていた。そして大事そうに胸に抱き締めている。

鼻の奥がツンとした。当時の億泰君たちの写真を探していたんだ、今のことはわからなくても昔の思い出はある。億泰君達を大切に思う気持ちはあるんだ。

億泰君のお兄さんは言葉を失い、ただただその場に立ち尽くしていた。

「殺すスタンド使いよりよ…、治すスタンド使いを探すんなら手伝ってやってもいいぜ。…その弓と矢を渡しなよ…ブチ折るっからよォ」

しかしそう言うと億泰君のお兄さんは後ずさりし部屋を出ようとする。これではまた意味がない、と追いかけようとしたら億泰君が部屋に入ってきて弓を掴んだ。

「…兄貴、もうやめようぜ、なあ」
「億泰…」
「おやじは治るかもしんねえなあ、肉体は無理でもよ、心と記憶は昔の父さんに戻るかもなあ」

億泰君は弓を離そうとしない。ここでもし使わなかったとしても誰かに奪われ悪用されれば意味がない。壊した方がいいだろう、と結論付けたのだろうか。


「どけ億泰ッ!もう後戻りできねえんだ、俺はこの町の人間を何人も殺しちまってんだからな…それに既にてめーを弟と思っちゃあいない!つまり躊躇なくてめーを殺せるんだぞ!」

お互い牽制し合ってる中、仗助君が上を見上げて言う。

「おめーら…まだほかに身内がいんのかッ?!」
「身内?俺らは3人家族…」


言い終わらないうちに、どこからかバリバリッという音がした。まるで、何か電気がショートした時のような音。

だんだん音は大きくなっていき次の瞬間それは億泰君のすぐ後ろに姿を現した。スタンドだ。

「コンセントから…ッ」


このままじゃ億泰君が、本音は優しくお兄さん思いな億泰君がやられちゃう。
どうしよう、なんて考えていた次の瞬間、信じられないことが起こった。



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