運命共同体
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今日は昨日よりは起きるのが遅かったけど、遅刻はしないだろう。丁度いい時間か、と思って台所にいったけど何もない。
「あ…そっか、私買い物してないや」
しょうがない、食べるものがないから学校に行く途中でお弁当でも買うか。
手短に着替えを済ませて家を出ると、康一君の家の前に複数人がいる。
「おーいッ、おはよー!」
手を振って駆け付けると、「おー」とか「おはよう」と返してくれた。その中に一人知らない顔…いや、昨日会った顔がいる。
「ゲッこの女も康一どののご友人ですか!」
「ゲ…だと?玉美てめー美蘭にも何かしたのか!」
「ンなわけねーだろ!俺を舐めてんのか!こんな娘っコにまで因縁つけるはずねーだろッ」
ガンつけてきたくせによく言う。足早に立ち去ってなかったらやっぱり金でも巻き上げるつもりだったんじゃない。
「本当にしてないのー?」
康一君がいぶかしげに見ると玉美と言われた男は表情をコロッとかえて媚びるような笑顔になった。
「モチロンですッ!康一どののご友人にご迷惑はかけません!」
ポカン、と拍子抜けしてしまった。さっきまで娘っコだとか言っていた言い草が「ご友人」まで昇格していたのだ。
だけどどうして康一君にヘコヘコしてるんだろう。
「あの…玉美さん?とはどういう繋がり?」
「あぁ…こいつもスタンド使いだ。なんでも罪悪感を感じた人間の心に錠をかけてよ、罪の意識が大きくなる度にそれが重くなんだハマるとやっかいだぜ」
「へえ…借金取りとかには丁度いい職業かもね」
「おい!俺はそんな汚ェー仕事しねえよ!」
この見た目でこんなセリフなんて怪しさしか募らない。適当にフーン、と返事をした。
そういえば億泰君が一言もしゃべってないな、と思ってそちらを伺うと目があった。…が、それは一瞬ですぐに目を逸らされてしまった。
気にしないとは言っていたけど、やっぱり弓と矢の件で複雑なのだろうか。そりゃあそうかと苦笑いをしてみんなに一言残す。
「私、朝ごはんまだなの!お弁当屋さんで買っていくから先に行くね!」
「道もう覚えてんのか?」
「あー…多分!昨日ちょっとそっち寄ったから!」
片手間に手を振り駆け出した。たしかこっちだよなあ。違ったらその時はまたここの学校の生徒について来ればいい。
「なあ億泰よォ」
「…うるせえッわかってる!」
「初めて会った時は話せてたじゃねーか」
「だってよ、日常的に女の子と話すことなんてなかったしっつーか…何話して言いかとかよー!」
「僕らと話すみたいに自然にしてればいいんじゃない?」
「バカだな康一、コイツそれができなくて悩んでんだろー」
「だぁあッ!ナシナシ!自然にだろ!わかってらあ!」
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