運命共同体
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「あのっ」
「ん?」
「はい?」
呼び止めたらその二人は同時に返事をした。背の低くてどちらかというと可愛らしい男の子と、立派なリーゼントがキマってる背の高い男の子。
う、リーゼントの方は不良っぽくて怖いけど背の低い方の子は制服もキチンと着こなしているし案外常識人かもしれない。
思い切って道を聞いてみよう。
「あの、高校生…ですよね?私、明日からこの町のぶどうヶ丘高校っていう高校に通う一年生なんですけど、道がわからなくて…」
二人が顔を見合わせてからまじまじと私を見た。なんだか意外そうな顔をしている。
「俺らもぶどうヶ丘の一年だぜ。なんだ新入生来ンのか!」
「本当?!あ…そうそう、私新入生として入るの。それにしても最初に見た制服とは大幅に違うから他校の人かと思っちゃった」
リーゼントの男の子が受け答えてくれた。その子の制服はパンフレットで見た制服とは全然違う。長さはもちろん、デザインも違うし装飾品も多々ある。ここの学校結構ゆるいのかしら?
「これは仗助君が特別なんだよ!」
ここで小さい男の子がツッコミを入れた。この小さい子も一年生かなのかしら、もっと幼いかと思ってたわ。
「あれ、そうなの?…そっちは仗助くんって言うの?」
「あぁ、東方仗助。」
「僕は広瀬康一。」
リーゼントの方が仗助くんで、背の低い方が康一くんね。この町に来ての初めてのお友達じゃない。
「私は杉本美蘭。康一君、仗助君よろしくね」
「美蘭か、よろしくな。…にしてもよォ、制服着てねーから見た目的にも中学生ぐらいかと思ってたぜ!」
「んー、未熟児だったから成長が遅いのかなあ…。あ、でも私仗助君たちより年上なんだよ!一年遅れで学校とか通ったから今17歳なの。」
「えェッ!そうだったのか!僕もてっきり中学生ぐらいかなって思ってたよ…」
むしろそれは私の台詞だよ!と思ったけど男の子に「小さい」とか「可愛い」は失礼かも、と思い口を閉じた。
それから各々紹介し合い、同じ学校ということでなんとなく話を進めていた。授業はどんな感じだとか、寄り道とか、いつも行くところ等話は尽きなくて、聞いていて楽しい。今度連れて行ってもらおうかな。
「うわ、この家相当酷いね…建て替えとかしないのかな」
案内してもらう途中で、大きさはそこそこあるのにとてもボロい廃れた家を見つけた。でも造形の雰囲気は良い感じ。
もし綺麗なままで誰も住んでないならここに住みたかったな、と思った。
「…たしか、この家3、4年ズウーッと空家だったと思うよ」
もったいない、リフォームしたらとても住み良さそうなのに。…いや、それだったら崩して新しくした方がいいかも。
「あぁ、こう荒れてちゃあ売れるわけねーぜ。ブッ壊して建て直さなきゃな」
あれ、中から小さい灯りが見える。誰かいるのか?
「いや…誰か住んでるよ、引っ越してきたんじゃない?」
「康一君も見えた?窓のとこに蝋燭か何か持ってる人いたよね…?」
二人合点がいっていると仗助君が不思議そうな顔をした。
「そんなはずないなぁ…おれん家あそこだろ?引っ越したってならスグわかるぜ。」
仗助君の家、あそこだったんだ。綺麗でいい家だなぁ…。たしかにこれだけ近かったら引っ越してくる人がいればすぐにわかる。
「それに、南京錠も降りてるし…」
「ひょっとして僕たち幽霊でも見たのかなあ…」
「おい、変なこと言うなよ!幽霊だなんてよォ…ここ俺ん家の前だぜ…」
大きい図体して幽霊が怖いなんてちょっと可愛いな、と思わず笑ってしまった。
するとすぐ近くでガシャアアン、という大きな音がした。
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