運命共同体
□03
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「ところで俺が出てきたのは…てめーらを見るためだッ」
私たちの方を指さして言い放つ。見るって、生存確認のこと?
「ぼ…ぼくと美蘭ちゃん…?」
「そうだ…康一とかいう名だったなァ〜っそこの美蘭て娘もついでに試してみりゃあ素質があったらしい…どんなスタンド能力か今…そこで発現させてみろ」
「もしかするとおれが探し求めている能力を持つ者かもしれんからなぁーっ!もしその能力なら生かしておいてやるッ!」
スタンドって…この、化け物たちのことよね?私には使えないのに!康一君は使えるようになったんだろうか、チラッとみると何が何だかサッパリのようで緊張しているらしい。
仗助君が「自分の身を守ろうとするとかこらしめてやるって気持ちになりゃあいい」なんて説明してるけどイマイチつかめない。
「ンなこと急に言われたってわけがわかんないよーッ!!」
「わからんだと?…それじゃあわかるように…キッカケを与えてやるよォーッ!」
何か体に違和感を感じたて見下ろすと一人の小さい兵隊が私の足にしがみついてナイフを突き立てていた。なんども腕を振り下ろすがナイフはカツンカツンと音をたてるだけで傷はつかない。
「アンタのとこの兵隊さん、腕力が弱すぎて刃もたてられないみたいよッ」
なんだ、ドキッとして損したとデコピンで払って億泰君のお兄さんをキッと睨みつけた。すると彼は一瞬目を丸くしたがすぐさまニッと笑う。もう一つ何か言ってやろうとしたけど近くで悲鳴がした。
「うわァーーーッ!!」
その声に振り向くと、顔を刺されたらしい康一君からタマゴのようなものが出てきた。…康一君のところへ向かった兵隊は腕力が強かったのかしら?
「おい、康一!動かしてみろよ」
「何…?まさか、このス…スタンドを?」
「そうだよ、この後どうなんだ?能力は何なんだ…?」
「能力って…動かないよ、これで終わりだよ。期待してもらって悪いんだけどこれ以上何もできないよ」
康一君が情けないような複雑そうな顔をした。康一君はまだいいじゃない、どんな形であれ姿が出ている。私は形にすらなっていない。
「もういい!知りたいことはこれで十分ッ!…全隊戦闘態勢ッ!!」
「康一!スタンドをひっこめろッあれを攻撃されるとお前も死ぬぜ!美蘭は俺より後ろに下がれッ」
「ひっこめる!?そんなのどうやるのさっ」
あたふたする私らをよそに攻撃開始の声がかかる。それと同時に仗助君のスタンドがタマゴを蹴り飛ばした。
集中砲火でありながら仗助君のスタンドは的確に拳を当て跳ね返していく。
ガタガタ震える足で這いずるようにして康一君の元へ寄るしかなかった。
「よし、康一と美蘭、仗助は離れた…」
「派手にやるならよォ、この家ぶっ壊すぐれェ派手な攻撃すっるーなら受けて立つッスよ〜ッ」
一触即発という空気の中、億泰君のお兄さんが自分の頭を指さしながら話しかけてくる。
「東方仗助、噂で小耳にはさんだんだがなぁ、お前はその髪型をけなされるのがスゲー嫌いっつーのは本当かい?」
その時、さらに空気は鋭くなったように感じた。仗助君の目つきもグッと鋭くなる。
一方億泰君のお兄さんは不敵に笑うと、これから実行するであろう計画を悠長に話し始めた。
私はこの時、話を聞いているだけだったけどなんとなく自分の中にもう一つの気配を感じていた。自分ではないものの感覚がある。
これが彼らの言う"スタンド"なのだとしたら、身を守るイメージで…試してみる価値はあるかもしれない。倒す覚悟で行かなきゃ本当に殺される。
だけど、どうやってあの化け物を出すの?やり方なんてわからないし、「能力」すらわからない。
「体当たりするようにぶつけてやれば…あいつを倒せるかもしれないッ!や…やるぞ!」
康一君が拳を握り挑もうとしたが、あっけなく億泰君のお兄さんに突き飛ばされてしまった。
「お前のスタンドは興味がある。そこの娘と一緒に今は殺さないでいてやるよ」
悔しいけれどまだ何もできない。
康一君の元へ駆け寄り血の出ている箇所を拭い、仗助君たちを助けられる能力だとありがたいな、なんて思った。
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