運命共同体

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「た、倒した…!」

「あぁ…、早えーとこよ…この家を出よーぜェ…」


息も絶え絶え言う仗助君だが、思い出したように康一君が横槍を入れる。

「僕らをうった弓と矢はどうするの…?」

「あ、それならたしか億泰君のお兄さんが隠したよね…」

「探すのかよぉ〜?たしかこいつら親父もいるっつったのを思い出したんだ。俺結構ダメージ大きいからよお、今出会うのはごめんだぜーッ」

たしかに怪我が酷い、これ以上動けないかもしれない。「今はほっとこうぜ」という仗助君に賛成しようとしたが反対が述べられた。

「僕は…仗助君に治してもらって生きてるけど…でも、あの弓と矢で誰かがまた射抜かれたら今度は死ぬかもしれないんだよっ!この町でっ!」

そうか。康一君たちにとってはここが故郷、愛すべき町なんだ。私だって育ちはここでなくとも生まれたのはこの杜王町。自分の町を守るぐらいしなきゃバチがあたるかもしれない。

「康一君、私も行くよ。一人じゃ危ないよ」

「美蘭ちゃん…!でも君は女の子だし…」

「だから何よ、行くッたら行くのよ!ほら早く!」

渋る康一君を追い抜き階段を駆け上がった。

「あ、待ってったらーッ」

階段を上るとすぐそこに扉を見つけ、案外すぐそこじゃあないかとドアノブに手を伸ばした。



「おい待て」

「ッ!!じょ…仗助君も来たの?びっくりした…」

心臓が止まるかと思った。てっきり康一君だけが来たと思っていたのに休んでいるはずの仗助君が後ろにいたんだから。

「何か…音がしない?」
「そうね、何の音かしら…この部屋から聞こえる」
「おい、やっぱりやべーなあ…何かいるぞ…」

薄ら開いている部屋の中をのぞくと奥の壁に弓と矢がかけてあるのがわかる。

「…鎖の音だ、何かが鎖につながれてるぞ!」
「い、犬かな…ガリガリって引っ掻く音は人間じゃあないよ、動物っぽい音だよ…!やっぱり怖いよーッ、ど、どうしよう!?」
「そうしようってよ、おめーがへし折るっつったんだぞ!」

ここまで何の役にも立ててない私の出番かもしれない。もし怪我したら…仗助君に治してもらおう。自分だけ無傷でお荷物でしたなんて恰好がつかない。

「私が行くッ二人ともそこで待っててよーっ!危なくなったらすぐ助けてよ!?」

とは言っても怖いものは怖いので何度も確認してからせーので部屋に飛び込んだ。


「うぁ…きゃーーーーッ!!」

いきなり何かが私の足を掴んだ。そしてズルズルと引っ張られていく。

「この手はスタンドじゃねえッ!ホンモノの肉体だ!」

「は、離してよーーーッ!!」

マズイ、と思った時スタンドがその手を殴りつけた。すると腕は簡単にちぎれて体と離れてしまった。血か何かが飛び散るかと思ったけれど何もでてこない。

そしてもう一つ大きな驚きは、手を殴りつけたスタンドは仗助君のスタンドではなく別のモノだった。

「それが…美蘭のスタンドかッ!?」

「え…あ、私の…?」


ポカンとしてるとそのスタンドはこちらを向き頷いた。

「ウソ…」

足にひっついた腕をはがそうとするけども剥がれない。手で握っているワケでもないのに、ガッチリ固まったようだ。断面も固まっている。だから液体が飛び出さなかったのか。

「おいおい、なんだこれ?カチカチに固まってるぜ。…お、音まで硬質なモノになってんじゃあねえか!」

私の足についている手をノックするように叩くとコンコン、と固い音がした。

「じゃあ壊すしかねえか…」
「わ、私の足まで殴らないでねッ!」
「おお、任せとけッ」

仗助君のスタンドが思いっきり振りかぶって手を殴りつけた。
…けれどそれは傷一つつかず元の形のままだ。

「仗助君のクレイジー・ダイヤモンドでも壊せない!?いや、傷はついてるみたいだけど…もしかしてこれ美蘭ちゃんのスタンド能力で、その能力が"硬質化"とか…?」
「え、じゃあこれ私が自分でやっちゃったってこと!?」
「そ、そうかもしれない!」

康一君に言われ、なるほどなと思ってしまった。日の光の当たらない部屋にいるせいか、足にくっついた手が冷たくなってきた気がする。

自分のスタンドを一度見てから解除して、と念じた。すると案外従順なもので能力は解け、手がボトリと落ちた。

「あの手、途中で冷たくなってきたんだけど二次効果でもあるのかしら…」




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