運命共同体
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「冷たくなる…、固い…?熱伝導が早いのかな。それに壊れにくいって…ダイヤモンドみたいな性質だね」
「康一お前物知りだなァ」
「いやいや、僕ちょうど昨日授業でやって…あれ、仗助君授業出た?」
「俺はいいからよ!それで…なんだ美蘭のスタンド能力は…モノをダイヤモンドと同じ性質にできんのか?」
「あ…そうかもしれない。康一君があの小さい歩兵さんに刺されたとき、私には刃をたてることができなかったし…」
スタンドが拳を握ったり開いたりするイメージをすると、本当にやってくれた。操作は簡単なのかもしれない、考えるだけでいいんだ。
「お…おい!アイツ、いつの間にか腕が生えてきてるぞ!」
てっきり倒れたと思った生き物は、新しい腕が生え元通りになっていた。
「なんだ…この生き物は…おれんちの近所にこんなのが住んでたなんて…」
「ついに見やがったなァ、見てはならねえものをよぉ〜」
聞いたことのある声にハッとするとそこには億泰君のお兄さんがいた。呼吸も荒く出血も酷いけれど弓と矢に対する執念は相当のものらしい。
「そこにいんのがよぉ〜、俺たちの親父だぜ」
嘘だろう、と目を見開いた。これは何かの病気か…?
「この弓と矢は…おやじのために必要なモンだ…、親父のためにスタンド使いをみつけてやりたい……。これは、断じてほかの奴に渡したり破壊させるワケにはいかんッ!」
「…お父さん、何か病気なの?」
「ハッ、違うね!おやじは健康だ。ただ唸り声上げてるだけで俺が息子だっつーのはわかんねーがな」
もしかして、お父さんを治すスタンド使いを探していたのかもしれない。
「勘違いするな…俺は治すんじゃねえ、殺してくれるスタンド使いを探してんだよ…ッ!親父は絶対死なねえんだ。」
治す、ではなくて殺すとはどういう事だと反論しようとしたけれどそれは悟ったように片手をあげそれを制止して続ける。
「なぜなら十年前、親父は操り人形にされるため"DIO"という男の脳細胞を頭ン中に埋め込まれてこうなっちまったんだからなーッ」
言葉に嗚咽が混じり、涙を流している。どうしても弓と矢を譲れない理由にこんな背景があるとは知らなかった。
やっていることは許されることではないけれど、ちゃんと思いがあって、父親を楽にさせてやりたかったんだ。
そう考えるとどこか複雑な気持ちになった。
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