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□イチゴ味〜ポッキーゲームのお話〜(刻遊刻・甘)
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「遊騎!ポッキーゲームしようゼ」

「何言っとるんや。にゃんまるはオレの もんや」

「アレ〜?よんばんに勝てる自信無いの かな?」

こちらをキッと睨みつける。今のは相当 きたようだ。

「さんばんはオレや!負けるはずあらへ ん!」

ムキになる遊騎がなんだか可愛くて思わ ず笑ってしまう。

「……っハハ」

「笑うなや!」

そろそろ怖いのでいじるのはやめよう。 うん。怖い。

最後のポッキーを袋から取り出し、イチ ゴの方を遊騎、反対側を俺がくわえるこ とにした。

「いくヨ……よーいスタート!」

合図でお互いポッキーを口にくわえ、か じり始める。プライドがあるのか、遊騎 は必死だ。俺も負けじとかじる。

言ってなかったケド、俺、ポッキーゲー ムは得意なんだよね〜

すでに4分の1以上食べてしまっていた俺 はそのまま遊騎の口の中のポッキーまで も奪おうとした。

「…………!?」

そこまですると思っていなかったであろ う遊騎は、突然のことに目を見開く。

「………っん………」

唇を離すと、真っ赤な顔で睨みつけてき た。

「何すんねん………ズルいわ」

「別にどこまで食えば勝ちとか言って無 いジャン?」

でも遊騎が可愛かったからイイかな〜な んて思っていたら彼は予想外の行動に出 た。


「返してもらうで」

「………へ?」

「よんばんには負けたくないねん」

本日二回目のいきなり展開に思考を巡ら せていると、遊騎は俺の唇に自分の唇を 重ねてきた。

さらにすっかりイチゴ味になった口の中 に侵入してくる。

「………ふぁ……っん」

バカみたいだ。でもバカなのは俺だけ じゃないみたいだ。そう思ってしまって いる自分がいた。

ガラッとドアが開く音が聞こえた。

ん?ドアが開く音?

唇を離す。ドアを見る。

そこにいた青い髪の彼女は目の前の光景 に呆然と立ち尽くしていた。

持っていた釣り竿が落ちた。

「ごばんーおかえりー」

目の前でそっとドアが閉まった。
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