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□まったくこいつらときたら…(刻遊・甘)
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「ふう……」

玄関の扉が閉まるのを確認して、王子は ため息をついた。

「それで……どうしたんですか?あなたが 俺に相談するなんて」

王子はバイクを停め、ヘルメットをはず す。

「………最近、あいつらなんだか変じゃな いか?というか変だ」

「……刻と遊騎のことですか?」

それを聞いて、彼女は「う……」と小さく 呻き、黙って首を縦に振った。

「お……お前も心当たりがあるのか?」

「ええ」

「そうか……」と言い、彼女は呆れたよう な顔で額に手を当てた。

「桜小路がいる前では話せないからな…… 実はオレ……見てしまったんだ………あい つらが……その……キスしてるとこ ろ……」(ポッキーゲーム参照)

あいつら……

「俺も最近見ましたよ。廊下で壁を背に イチャイチャと……」

言ってるこっちが恥ずかしい。 あのあと、俺の存在に気づいた刻が慌て て何事もなかったかのように装うのだ が。

「お前も見たのか……渋谷荘でこんな不埒 なことをしでかすとはな……桜小路が見て しまったらどうす……」

王子の言葉が止まる。

「どうかしました……」

しまった。この時間は会長が夜の鍋の買 い出しに行く時間。さっきまで中にいた 可能性のある人物は二人。平家はいつも もう少し遅くなってから来る。

あいつら二人だけだったところに桜小路 さんが……。

「桜小路さんっ!!」

今までの会話のせいなのか、これまでに ない緊張がよぎる。桜小路さんは誰より も純粋で純白。もしもあいつらのあんな ところ見てしまったら……!

俺と王子は扉が壊れんばかりの勢いで渋 谷荘に入った。
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