「……て、…きて!起きて、よ!!」

「………ん...??」


少年はゆっくり目をあけて、起き上がった


「……ん?ここは...??」

「ここは、名無しの洞窟よ。この先に私達は進まなければならないわ」

「…名無しの、洞窟...?」


キョロキョロと辺りを見回す


「…洞窟でも光があるよ」

「えぇ。この先に出口があるからね」

「……出口...」

「そして、そこから谷を越えて山を越えないとあなたは元の世界に戻れないわ」

「…そう、なんだ...。…ねぇ、僕はいったい...。どうしてたの??どうやってここに来たの??」


「…ふぅ...」


やれやれといった感じで彼女は僕に言った


「あなたは、突然気絶して…私がここまで運んできたの」」

「…そう...。……ごめんなさい、迷惑かけて」


僕は何だか自分が悪い気がして謝った


「いいのよ、別に。…さて、もう体大丈夫?歩けそう??」

「…うん」


僕は立ち上がった


「…僕、どのくらい寝てたの?」

「ここに来て、すぐ起こしたから30分もないはずよ」

「…そう」


何か、変だなぁ...
僕はなんとなくそう思わざるを得なかった


「さぁ、行きましょう」

「うん」


歩き出した第一歩はとてつもなく重たく感じた
何かとてつもない嫌な予感と共に




――――――――――――――――――


「……う、ごけない...」


私は少年が消えた場所から動けずにいた


「…どうしてだ?私はただ...」


あの少年を元の世界に帰そうと……、いや、ここにきてまで、そして私が一人だけであるのに何を嘘をつくことがあるのだろうか


「…少年が無事にあの場所で覚醒していればそれでいい...」


そう呟いた時

漆黒が私に覆いかかってきた


「……フフフフフ...」


きっと私は、私の良心はここで消滅する
それでもいい。
そう思った
この世界が崩壊し、彼の世界と繋がるのならば、私を失うことなど本望だ。


「…フフフフフ。はやく、結末を迎えろ、the Others」


笑い声が洞窟の隅々まで響きわたった



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