戦国BASARA

□【星に願いを】風魔小太郎
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『今日は七夕だし…
天の川…見えるかな…?』


障子を開け、縁側から
空を見上げてみる。


『わぁぁ…!きれーい!』


夜空一面に広がる無数の星。


その星に向かって手を伸ばし
掴む真似事をしてみる…。


『ふふ。無理って…
わかってるんだけど…ね』


独り言を呟き、
もう一度両の手を夜空へ伸ばす。


ふと、
スッ…と隣りに並んだ人影…。


『あ…風魔様…』


『……』


『あ…あの…。
あまりにも綺麗だから…その…
掴めたらなと…思って…』


繰り返ししていた動作に
ちょっと恥ずかしくなり
俯きながら説明した。


『……!キャッ!
あの…っ…!ちょっと…!!』


突然、抱きかかえられた私。
すぐ肌に風を感じ、
下界を見れば家々の明かりが
小さく灯っている。


『あの…どちらへ?』


『……』


私はそのまま
風魔様に身を預けた。



***



『ここ…は?』


辺りには明かりも何もない。


空を見上げる風魔様。


『あぁ…曇っちゃいましたね…』


『……』


しばらく二人並んで
夜風に当たる。


『気持ちのいい風ですね〜!』


辺りが少しうす明るくなり…
空を見上げると…


『月……。あっ、風魔様…
雲が切れてきましたよ!』


風魔様はもう一度空を見上げた
かと思えば…振り返り、
そっと私の手を取って 歩き出す。


着いた場所の目の前には
広い池が佇んでいた。


『わぁぁ…!すごい…』


月明かりに照らされた池一面に
広がる無数の星たち…。


まるで
空から降ってきたかのよう…。


風魔様は池のすぐ傍まで行き、
しゃがんで水をすくった。


その中を覗けば…


『わぁぁぁぁ…!星が…!』


風魔様の手の中の水に
映り込む幾つかの星。


私も隣りにしゃがみ、
同じようにしてみる…。


━━チャプン…


『星が…手の中に…』


(……!!
もしかして…!?)


『あの…私が星を掴もうと
していたのを見て…ここへ
連れてきて下さったのですか?』


『……』


いつも無言の風魔様。


でも、私には風魔様の
心の内がわかった…。


『ありがとう…ございます…』


私はそっと
風魔様の胸に寄り添う…。


『……』


背中に回された腕から感じる
風魔様の温かさ…。


(また来年の七夕も…
風魔様と一緒に
過ごせますように…)


心の中でそう願った…。






ー終ー



*

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