戦国BASARA
□【雷鳴】風魔小太郎
1ページ/1ページ
『キャァッ…!!!!』
梅雨が明けてから
初めての雨。
雷鳴も雨と共に激しさを増し、
一向に鳴り止む気配がない。
昼間なのに暗い部屋に一人
ポツンと雷に耐える…。
『よりによって皆、
ほとんど出払ってるし…』
いつも誰かしら行き交う屋敷だけど
今日に限って家臣たちも主人である
松永様の所用について出ており、
留守になっていた。
━━ゴロゴロゴロ…
『あっ、また…!』
━━ドッカーン…
『キャーッ!もう…ヤだ…』
すぐ近くでの雷鳴に
思わずしゃがみこみ、耳を塞ぐ。
そんな時…
肩にそっと添えられる温かなもの。
恐る恐る顔を上げてみると
私と同じ視線に合わすように
しゃがむ風魔様が
肩に手を添えて下さっていた。
『風魔…様…。
どうしてこちらに?
松永様は?』
『……』
いつもの通り、
何も喋ることの無い風魔様。
━━ゴロゴロゴロゴロ…
『あっ、また…くるっ…!』
━━ドッカーーーン!!
『キャァァーーーっ!!!!!!』
思わず風魔様の胸に顔を伏せた。
そんな私をそっと引き寄せ
抱き締めて下さる。
『すみません…。
暫く…このままでもいいですか?』
見上げて尋ねてみる。
ほんの少しだけど風魔様の口角が
上がった気がした…。
そして…
無言のまま
見上げた私の目蓋に
落とされる優しい口づけ…。
それはすぐに離れていったけど
きっと了承して下さったお返事。
証拠に
私を抱き締める腕に
さっきよりも力が入ったから…。
『…ありがとう…ございます』
『……』
なんだか安心して
ほんのり温かくなる胸の内。
こんなふうなら…
雷も…悪くないな…。
ー終ー
*