戦国BASARA
□【音色】伊達政宗
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━━チリ〜ン…
━━チリ〜ン…
夕暮れ時…
蜩の声が響く中、
軒下に吊るした風鈴が
涼やかな音を奏でる。
『う〜ん、いい音…』
夏の着物に身を包み、
縁側の柱にもたれて腰かける。
夕暮れの風がもたらすその音は
昼間の暑さを忘れさせてくれる
かのような音色…。
『風鈴…か?』
背後から聞こえた声に振り返れば
襖に軽くもたれて立つ、
甲冑姿とは違う政宗様。
『政宗様…』
普段、屋敷内で着ている着物を
やや着崩して纏っているその姿に
思わず目を奪われる。
口角を上げ、フッと笑うと
私の隣りに並び、腰を下ろす。
━━チリーン…チリーン…
『いい音だな…』
『はい、とても…』
しばらく二人で
その音色に聞き入る。
『…借りるぞ?』
突然の声に
ハッと我にかえれば
私の膝の上に政宗様の頭が…。
これは…膝枕…!?
『まッ、政宗様ッ!?』
私の驚き様にも動じず
そのまま頭を預ける政宗様。
━━チリーン…
『昼間の暑さが嘘のようだな…』
『そうですね…』
夕日に染まりゆく
遠くの山々を眺める。
『このまま…
何事もなく時を過ごせれば…』
ポツリと低く呟やかれたその声に
視線を落とすと
少しだけ秋の気配を含んだ涼しい風が
政宗様の髪をサラサラと
撫でていた。
その少し乱れた髪を
そっと手櫛で直す…。
『……政宗様?』
『……』
私の呼び掛けに聞こえてくるのは
規則正しい寝息…。
━━チリ〜ン…
優しい音色と共に感じる
政宗様の体温。
『ふふ…。
おやすみなさいませ…』
(秋はもう、すぐそこまで
来てますね…)
そう心の中で囁いた。
ー終ー
*