詩ー痛詩ー

□人魚姫
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『人魚姫』



私は人魚姫になりたかった。

私は本当の人魚姫になりたかった。

何を失ってもよかった。

素敵な人と恋人になって。

素敵な恋をして。

ささやかな幸せが欲しかった。
でもそれは夢物語で、

私は人魚姫じゃない。

大切な何かを失い、

その代償は大きすぎて。

小さな箱庭の中、

偽りの恋をして、

偽りの笑顔を作り、

偽りの愛を囁き、

本心は只、ひた隠し、

求められるが侭、

応える。

私は偽りの人魚姫。

泡になんて

なれるはずもなかった。

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